抄録
焼却灰の化学組成はセメントに近く,石灰など不足する原料を補い調整することによりセメント原料として利用されているが,塩素がセメント品質の低下を招くため,セメント焼成過程で塩素バイパス装置によって塩素を通して系外へ排出しており,塩素バイパス装置の容量が焼却灰の受け入れ量を制限している.したがって,焼却灰を水洗し塩類を除去することで,セメント工場の焼却灰受け入れ量の拡大,引き取り価格の低下,リサイクル率の向上,埋め立て廃棄物の削減に繋がるものと期待される. 本研究では焼却灰の水洗浄によるセメント原料化の促進を目的として,洗浄廃液のクローズド再生処理システム開発の一環として,非水溶性と考えられるフリーデル氏塩の挙動も踏まえ,都市ゴミ焼却施設から排出される焼却主灰および飛灰について水洗浄による塩素の除去について調査を行った.