抄録
実際の焼却施設において、燃焼、排ガス処理および灰処理など各種の工程での放射性物質を含む種々の物質の媒体中存在およびそれらの間における移行の実態を把握し、収支や特徴を解析することを目的として、焼却灰を対象とする溶融炉付きプラントにおいて測定を行った。その結果、飛灰への放射性セシウムの濃縮性は比較的小さく、焼却灰が千~千数百Bq/kg程度のとき、焼却飛灰は7,000 Bq/kg程度、溶融飛灰は6,000Bq/kg程度であった。また、 物質収支にもとづくバグフィルターでの放射性Csの除去率は、99.9%以上となっていた。一方、溶出性の試験から、ゼオライトの排ガス添加により、ばいじんからの放射性セシウムの溶出率は30%程度低減したほか、放射性セシウムと塩素およびカリウム含有量との間に正の関係があることを見出した。