焼却灰主体の埋立処分場では,埋め立てた焼却灰が固結化することが確認されている.固結が焼却灰層に起これば,通水性,通気性の低下により,層内への大気の侵入は阻まれ,降雨水の浸透も抑制され,分解の遅延,偏った洗い出しが起こるとされる.焼却残渣埋立地の安定化を,埋立層からの汚濁物質等の一掃であるとするならば,通水や透気を阻害する固結化は望ましくない.しかし一方で,安定化を可動性性物質の内部への捕捉と外部への放出の最小化であると見なすならば,固結は放出の抑制につながる.そこで,本研究では,焼却灰の固結が安定化,特に易溶出性塩類の洗い出しににどのような影響を与えるのかについて,基礎的な検討を行った.