抄録
埋立処分からの脱却が近年、東南アジアでも求められている。東南アジアの廃棄物は水分を多く含むため、成分調整を目的とした「分別」が有効と考えられるが、発展途上国で廃棄物が分別収集されている事例はほとんど存在しない。ベトナム国ハノイ市で家庭系廃棄物の物理組成及び三成分(水分、可燃分、灰分)を明らかにし、代替処理技術(焼却処理、RDF化処理、堆肥化処理)を想定した分別シナリオ(可燃性、不燃性、生分解性)を設定した。厨芥類の物理組成が最も大きく(57.3%)、水分も最も高いことがわかった(76.1%)。低位発熱量は858 kcal/kgで、辛うじて自燃限界を上回ったが、安定的な焼却処理のためには分別や前処理が必須となる。代替処理技術を適用する場合には、廃棄物の排出源分別が有効であると言えるが、それぞれの技術に応じて必要とされる分別達成率が異なり、状況に応じて追加的な前処理が必要である。