抄録
高齢者のごみ出し支援は、廃棄物施策としてのみならず、安否確認や声掛けなど、高齢者福祉の観点からも、超高齢社会における重要な取組みである。本研究は、ごみ出し支援のあり方を検討する基礎研究として、支援制度の利用希望に影響する心理的要因の解明を目的とした。「ごみ出しの負担感」が「支援制度の利用希望」に繋がるというプロセスにおいて、「負担感」には、①身体的負担、②心理的負担が、「利用希望」には①社会との繋がり、②プライバシー・遠慮、③支援制度の評価が影響しているとする仮説モデルを設定し、茨城県つくば市の森の里団地住民を対象にアンケート調査を実施した。共分散構造分析による解析の結果、ごみ出しの負担感が制度の利用希望を高める一方、プライバシーの懸念や遠慮の気持ちが、制度の利用を阻害していた。また、男性では、収集員との挨拶や安否確認などの社会との繋がりができるという評価が利用の希望に繋がっていた。