抄録
難分解性の人工素材ごみの漂着が深刻であり,実効性のある海洋浮遊ごみの流出防止対策の創案には各地から流れ着くごみ種と量を知ることが必要である。本報では2つの区画を同時に調査し,両区画のごみ量の割合の差の絶対値を過剰率と定義し,その値から信頼性を評価した。難分解性のごみの重量の大半を,数の少ない中大型のごみが占め,それから膨大な数の微小ごみが発生する。したがって中大型ごみの漂着量の調査が重要で,その測定には複数の調査地の長い汀線距離で撤去を伴う繰り返しの調査が必要である。中型製品ごみの汀線250m区間への漂着数の月次調査では比較では6調査地の合計での月間漂着数,および大型フロートやロープでは6調査地での年間値で過剰率が小さくなった。したがって汀線500m区間での月次調査を数ヵ所の海岸で行うことで,広域の海岸への漂着量の指標となる測定値を得ることが出来ると推定できる。