抄録
リンは肥料の3大要素の一つであり農業にとって欠くことのできない物質であるが,我が国には埋蔵資源としては皆無でほぼ全量輸入に頼っている状態であるうえに,リン資源は世界的な枯渇性資源であるため需給について憂慮される状況である。また,リンは富栄養化の原因物質であり閉鎖性水域の流域での排水処理では,その除去が必要である。このため,廃棄物処理施設でのリン資源回収は資源及び環境保全の両面から重要な技術である。
本研究では,以上の状況を踏まえて汚泥再生処理センターにおけるし尿・浄化槽汚泥からのリン資源回収による温室効果ガス削減効果についてLCAにより検討を行った。
検討では必要なエネルギー,薬品等の原単位について既存の検討事例を参考として見直しを行った。計算の結果,回収リンの代替となるリン肥料製造によるGHG削減効果により3%以上,全体で6%程度の削減効果があることが確認された。