抄録
北海道におけるホタテガイの水揚げは年間約40万トンで、魚種別生産量において北海道全体の約30%、生産額でも23%を占める主力水産資源である。しかし、ホタテガイ加工の際に排出される貝柱以外の内臓部分を主としたカドミウムを含む廃棄物は年間約3万トンに上り、その処理が問題となっている。
一方で、近年魚粉価格が従来の2倍程度にまで高騰しているため、水産業界では魚粉削減飼料の研究開発を行っているが、魚粉配合量を低下させすぎると摂餌性の低下や成長性の低下を引き起こす問題があり、摂餌促進物質の添加により改善することが判明している。しかし、摂餌促進物質は一般的に高価であるため、魚粉削減飼料の価格を押し上げる要因となる。
そこで、ホタテウロの処理工程を改良し、電気分解によるカドミウム除去効率向上を図ると共に、摂餌促進効果や成長促進効果を持った付加価値の高い養魚用飼料原料としての検討および評価を行った。