抄録
本論は、INPUT-OUTPUTモデルを援用しながら食と農問題をまず体系化を試みて、その後、生産から廃棄までをとおして、食料の環境負荷がどのように発生しているかを明らかにし、再生資源化や節約意識の形成によって、食料の環境負荷削減がどの程度可能になるか把握し、負荷削減を妨げる要因について検討したものである。農産物の関税をゼロに近づけて、自由度をかなりあげた貿易を目指して、日本が比較優位な戦略を確保しようとするものである。この場合の農地の価値は失われてもよしとする判断なのか、あるいは食品廃棄、特に食品ロスが増大していることに関しては意識だけで十分対応できるとするのであろうか。今後検討すべき点は、食品廃棄物の減量にはもったいないなどの意識形成や再資源化の促進など多くの手法が考えられるが、多くの効果を期待するのであれば、食料そのものの供給部分にメスを入れる必要がある。