廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
第25回廃棄物資源循環学会研究発表会
選択された号の論文の326件中1~50を表示しています
A1 ごみ発生・排出抑制 / ごみフロー 1
  • 谷川 昇, 藤倉 まなみ, 大久保 伸
    セッションID: A1-1
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/16
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    産業廃棄物の処理を委託する排出事業者には、紙または電子の産業廃棄物管理票(マニフェスト)を処分業者に交付し、年間のマニフェスト交付等状況を、都道府県・政令市に報告書として提出することが義務付けられている。委託処理される産業廃棄物のフローを把握するには、このマニフェスト交付等状況報告書の利用が有用と考えられる。しかし、都道府県・政令市は、マニフェスト交付等状況報告の内容と取扱いに、① マニフェスト記載の産業廃棄物の種類と数量の信頼性が不明②紙マニフェスト交付等状況報告の代表性に信頼を持てない。③ 紙媒体での提出例が多い紙マニフェスト交付等状況報告の膨大なデータの集計に苦慮している。の認識を持っており、その利用には積極的ではない。そこで、上記の①、②、③の認識を改善して、マニフェスト交付等状況報告書の活用を進めるための提案を行い、その実行可能性を検討した。
  • 大久保 伸, 谷川 昇
    セッションID: A1-2
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/16
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    産業廃棄物の排出事業者に提出を課している実績報告を用いて、積み上げによる産業廃棄物のフローの把握手法を提案するため、様式の調査と既存手法による調査結果との比較を行った。その結果、次の3点の結果が得られた。①交付等報告の様式に発生量(自社中間処理前量、委託前中間処理方法、処分受託先中間処理方法、処分受託先中間処理方法、再資源化も含む処分受託先最終処分方法を加えること等を提案した。②実績報告の変更後の様式を用い、委託量を交付等報告で自己処理量を多量排出報告で産業廃棄物のフローを把握する手法を提案した。③実績報告を集計したものと、従前の産業廃棄物実態調査によるものを比較した結果、概ね一致することを確認した。
  • 矢島 達哉, 樋口 壮太郎
    セッションID: A1-3
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/16
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     これまでに埋め立てられた一般廃棄物の「直接粗分ごみ」と「焼却以外の中間処理残さ」の組成を調査した。
     1999年以降は環境省の調査データより、それ以前については過去に排出された廃棄物の組成データ等から解析を行った。その結果、直接粗分ごみの組成は、プラスチック類(23%)、ガラス類(14%)、鉄類(10%)、陶磁器類(5%)の順に多かった。中間処理残さは、ガラス類(26%)、陶磁器類(13%)、プラスチック類(7%)の順であり、金属類はほとんど含まれていないことがわかった。
     埋め立てごみの金属類とガラス類の起源を検討するため、スチール缶、アルミ缶、及びガラスビンの処分量との比較を行った。その結果、1984年度以降において金属ごみに占めるスチール缶とアルミ缶の割合は48%と14%であった。同様にガラスごみに占めるビンの割合は1983年度以降で47%であった。
  • 瀬口 亮子, 山川 肇
    セッションID: A1-4
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/16
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    日本においては、地域自主協定や一部大手スーパーの自主的取り組みにより、レジ袋の有料化等の取り組みが進められている。しかし、大都市圏やコンビニ等では取り組みが遅れ、法に基づく全国的な施策は未整備である。海外諸国では、プラスチック袋の課税や無償配布禁止だけでなく、紙やバイオプラスチックも有料化の対象とする、あるいは、プラスチック袋の使用自体を禁止するなど、より環境負荷低減をめざす動きが進んでいる。これらの動向から、我が国におけるレジ袋削減施策を検討する上での鍵およち望ましいプロセスを提案する。
  • 岡田 真衣, 齋藤 友宣, 山川 肇
    セッションID: A1-5
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/16
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    本研究ではマイボトルの持参促進に向けたコミュニケーション手法の評価を目的とし、行動プラン法、コスト・負荷比較計算、および各種の情報提供の効果を検 討した。また対象者の行動変容への準備性を重視したTTMの適用可能性を検討し、それを踏まえて介入の有効性を検討したところ、以下のような結果が得られた。 ・TTMはマイボトル持参行動に適用できる可能性がある ・本研究の介入によって面接法では5/15(33%)、集合法では5/14(36%)のステージの上昇が見られた ・前熟考期~準備期の行動変容は、1/15(7%)であった ・コスト・負荷比較計算は全てのステージの人の意識変化に一定の効果が見られ、ステージの上昇を促した ・コスト比較計算ではステージにより受け止め方が異なったが、負荷比較計算についてはそのような傾向は見られなかった ・集合法の介入は、提供する情報をターゲットとするステージに合った内容にすれば、施策化可能だと考えられた
A2 ごみ発生・排出抑制 / ごみフロー 2
  • 齋藤 友宣, 山川 肇
    セッションID: A2-1
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/16
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    本稿では,実際にごみ減量行動に繋がる普及啓発方法を検討するため,医療・保健などの様々な分野で応用されているTTM (Transtheoretical model)の「行動変容ステージ」と「変容プロセス」の考え方に着目し,ごみ減量に関する講座において,参加者が,ごみ減量行動毎にどの「行動変容ステージ」に当てはまるかを検討した。その結果,比較的ごみ減量に熱心に取り組んでいると考えられるグループでも,ごみ減量行動によっては,意識や行動のレベルがそれほど高くないことがわかった。
    また,効果的にごみ減量行動に関する意識・行動が変化するよう,講義を通じて,参加者の行動変容ステージに応じた介入を行った。これについては,想定した効果があがっているように考えられるものもあれば,大きな差がなかったものもあった。
  • 遠藤 晃冬, 齋藤 友宣, 山川 肇
    セッションID: A2-2
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/16
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    本研究では、展示ブースを出展して2R行動の促進を目的とした環境啓発を行う取り組みに着目する。そして、イベントに訪れた環境問題への無関心層に対して展示物の改善によって効果的な普及・啓発が出来ないかを京都市役所前で月一回行われているフリーマーケットにブースを出展し調査・検討を行った。質問紙調査では、9割以上の人が「展示を見る前より興味が持てた」、「行動しようと思った」と回答しており、展示を用いた普及・啓発が興味喚起や行動の促進に一定効果がある可能性が示唆された。一方で、効果的な普及・啓発を行うためには混雑の回避と展示をしっかりと見て貰う取り組みを行う必要があり、その為に分かりやすい展示内容、展示スペースの拡大、呼び込みの有無による集客の調整、粗品の提示の仕方やクイズの問題内容の変更及び効果分析用調査票との一体化などが必要であると考えられた。
  • 寺園 淳, 小口 正弘, 飯野 成憲, 茂木 敏
    セッションID: A2-3
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/16
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    すべての種類の電池類に関する分別排出の実態を把握し、回収システムの改善に資する基礎情報の取得を目的として、東京都内の自治体の協力を得て、電池の拠点回収、小型家電回収における排出実態を調査した。電池の拠点回収では、対象外の電池類の割合、有害物質の使用情報、絶縁実施率を把握した。小型家電では、機器重量に対する電池の割合や、交換可能電池の取外し実施割合を把握した。小型家電の回収も多くの自治体で始まった現在、回収率の向上とともに、機器に含まれる電池類を誰がどのように回収するかの役割分担について、関係者の間で改めて議論するのが望ましいと思われる。
  • 前田 利蔵
    セッションID: A2-4
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/16
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    一般に途上国都市で発生する一般廃棄物(産業廃棄物を除く、家庭廃棄物や、事業所や商店からの廃棄物)のうち、その半分以上は有機廃棄物である。したがって、これを効果的に処理し、有効利用できれば、大幅に廃棄物量を削減できる。換言すれば、大幅なごみ減容化を見込める焼却処理を採用できない都市は、有機廃棄物の処理に特化した戦略が必要といえる。 実際、多くの都市では堆肥化施設を運営したり、住民団体や民間事業者による堆肥化施設の運営を支援したりして、堆肥化の取組を推進している。ただし、一部の都市ではこれらの取組により廃棄物処分量の削減という目に見える成果をあげているものの、多くの都市ではその効果は限定的であり、期待される効果が得られないため堆肥化施設の運転を止めているところもある。 本稿ではこれらの取組を概観し、特にその収支条件に着目し、堆肥化施設運営の成立条件を整理する。
  • 井出 留美
    セッションID: A2-5
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/16
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    世界の生産量の3分の1にあたる13億トンの食料が毎年廃棄されている。世界には、一日1.25米ドル未満で生活する食料に困窮する人が12億人以上いる。この食品ロスと食料困窮という不均衡を緩和し、エネルギー消費を抑制する方策の一つが、余剰食料を困窮者へ繋げるフードバンク活動である。1967年米国で始まったフードバンクは、日本はじめ世界36カ国以上に拡がっている。食べられるにも関わらず廃棄される食品の、生産量に対する割合は農産物が最も高く、世界のどの地域でも生産量の50%程度を廃棄している。本研究では、国内でのフードバンクの実績が無いフィリピンを対象に、余剰農産物を困窮者に届ける試みをおこない、食品ロスの削減と食料困窮の改善が実現できるか検証した。その結果、フィリピンで廃棄されるはずだった余剰オクラ5.8トンを16の生活困窮者支援施設に44回届け、食品ロスの削減と食料困窮者の貧困緩和を実現できた。
A3 廃棄物行政 / 有料化・経済的手法
  • 松本 亨, 益田 富啓
    セッションID: A3-1
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/16
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    大木町で実施されている「家庭系使用済み紙おむつの分別回収事業」、「高齢者等ごみ出しサポート事業」の2事業について、サポート事業対象世帯、紙おむつ支給対象世帯等を対象に意識調査を実施した。その結果、高齢者世帯も多分別への協力率が高いこと、紙おむつの分別回収事業は好意的に受け入れられていること、ごみ出しサポート事業への満足度も高いことがわかった。また、調査設計時に想定した副次的効果であるが、ごみ出しサポート事業による高齢者の見守り効果が出現していること、また2事業による自治体の環境政策への理解・関心の向上があることも明らかとなった。
  • 小島 英子, 大迫 政浩
    セッションID: A3-2
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/16
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    循環型社会の構築には、廃棄物処理行政を担う自治体と廃棄物の排出者である住民が課題認識と目標を共有し、協働することが不可欠である。本研究は、一般廃棄物処理施策に対して、住民と自治体担当者のそれぞれがどのように評価しているかを明らかにすることで、住民ニーズに即した施策を展開するための自治体の認識のあり方を検討することを目的とし、住民アンケートと自治体担当者インタビューを行った。住民と自治体担当者の施策に対する認識は合致するものと、相違するものがあり、特に「分別区分の分かり易さ」は、住民が最も重視している施策であり、自治体側には分かり易く伝える一層の努力が求められることが指摘された。また、「環境学習の開催」や「資源回収の推進」など、担当者が実務で住民と接する肌感覚での満足度の認識と、アンケートで得られる一般的な住民の満足度にはズレがあり、施策による裨益者が限定的であるためと推察された。
  • 北坂 容子, 山本 耕平, 酒巻 弘三, 岡山  朋子
    セッションID: A3-3
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/16
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    スチール缶リサイクル協会とダイナックス都市環境研究所は、容器包装リサイクルにおける「民間主体回収の可能性」に着目して調査・研究を行ってきており2011年度からスーパーの店頭回収について調査してきた。店頭回収は容器包装の回収ルートとして重要な役割を果たしている反面、持続性のある社会システムとして普及を図っていくためには自治体との連携協働が課題であることが明らかとなった。店頭回収の実態をより詳しく分析するために、全国のスーパーにアンケート調査を実施するとともに、自治体に対しても店頭回収に対する施策やスーパーとの協働についてのアンケート調査を実施し、先進事例について現地調査を行った。 また、名古屋市と豊橋市の消費者を対象に実施した「容器包装店頭回収に関するアンケート調査」によって、消費者の店頭回収の利用状況を把握した。これらの調査結果に基いて、店頭回収に関する実態と課題をまとめた。
  • 田崎 智宏T
    セッションID: A3-4
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/16
    会議録・要旨集 フリー
    拡大生産者責任、過去20年ほどの廃棄物・リサイクル政策のうえで世界的に重要な概念として用いられてきたが、リサイクル法の見直し議論においては最も意見が対立する論点の一つであった。現在、OECDにおいて2001年に刊行されたガイダンスマニュアルのアップデート作業が進められていることをふまえ、本稿では、EPRの論拠を2つに分けつつEPRの基本概念についての主要な知見を再考するとともに、日本のリサイクル法における課題を責任分担の観点から整理して、日本の政策経験に基づくEPR政策の知見と今後の課題を示した。
  • 青木 泰, 西岡 政子
    セッションID: A3-5
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/16
    会議録・要旨集 フリー
    微小粒子状物質(PM2.5)は、中国の大気汚染をきっかけに世に大きく知られることになった。PM2.5は、きわめて小さく吸い込むと肺の奥まで入りやすく、肺がんやぜん息を引き起こすリスクがある。アメリカのEnvironmental Protection Agency(EPA,米環境保護庁)でも、5年に1回環境基準の見直しを行い、昨年3月、年平均15μg/m3から12μg/m3に強化した。日本でも環境省は、注意を要する暫定的な指針値を、「1日平均で1立方メートルあたり70μg」、環境基準値の2倍とした。環境基準や指針値を設け、大気中へのPM2.5の排出を抑えるためには、排出源への対策対処が不可欠である。排出源の一つである都市ごみ焼却炉への対策は、集塵装置(バグフィルター)を備えれば99・9%捕獲できるという発表(1)などもあり、知見に寄れば、具体的な対策は取られてこなかった。しかし都市ごみ焼却炉を有する市町村の清掃工場の周辺では、児童・生徒のぜん息が多発している箇所があり、都市ごみ焼却炉によるぜん息への影響を考えたい。
  • 石村 雄一, 竹内 憲司
    セッションID: A3-6
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/16
    会議録・要旨集 フリー
    本研究はごみ有料化がもたらす歳出削減効果に焦点をあて、これまでに実施されたごみ有料化が地方自治体の財政負担に与えた影響について分析する。さらに本研究では、すべての自治体が限界費用に等しいごみ有料化をおこなった場合に実現可能な財政負担軽減額を推計し、今後、地方自治体においてごみ有料化導入を検討する際に有用な財政的視点からの評価方法を発展させる。分析の結果、有料化のごみ減量効果による歳出削減額と手数料収入による歳入額を含めると、生活系ごみ処理費用の約24%に相当する金額の財政緩和が達成されていることがわかった。さらに、有料化未導入自治体も含めたすべての自治体において、ごみ処理にかかる限界費用に等しい水準で有料化が実施された場合、一人あたり平均で約101kg/年の潜在的なごみ削減が期待でき、これによる潜在的な歳出削減率は約50%であることがわかった。
  • 尾崎 平, 盛岡 通
    セッションID: A3-7Poster1
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/16
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,全国の全連続式ストーカ炉方式のごみ焼却施設にアンケート調査を実施し,予定供用年数,ごみ量減少に伴う低負荷運転時の対応および主要機器の管理状況について集計・分析した.その結果,予定供用年数に関して,特に処理能力が大きい400t/日以上では,25年以上,30年以上の超過割合はそれぞれ約90%,50%と従来よりも長寿命化の意向が確認できた.また,現在のごみ減少化における対応としては,複数炉の同時運転時間の減少等,運転炉数や運転時間を見直す方法が最も多く,他の対策は,施設側のみで容易に意思決定できないこともあり,導入可能性は低いという結果を得た.次に,主要機器の管理状況について,機器毎に管理特性が異なることが確認できた.
A4 住民意識・環境教育
  • 上田 康平, 吉田 飛雄士, 鈴木 慎也, 高橋 史武, 立藤 綾子, 松藤 康司
    セッションID: A4-1
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/16
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,ペットボトルを対象に, アンケートを用いた分別に伴う 心理的負担感“煩わしさ”を定量的に評価するため,①心理測定法による煩わしさの定量化,②貨幣換算を行う二段階構成による新たな評価法(以下,“新評価法”と呼ぶ.) を提案している.本稿では,「キャップを外し,ラベルを剥がす」などの複合の分別作業による心理的負担感と実測の分別割合との関係を調査し,新評価法の有効性について検討した.複合分別作業による心理的負担感は,アンケート調査により得られた各複合分別作業の煩わしさを示す“損失金額”(複合評価)だけでなく,単独の分別作業の損失金額の和の損失金額(加算評価)についても検討した.その結果,両評価ともに複合分別作業の損失金額と分別割合に強い相関が見られた.このことから“煩わしさ”の評価方法として筆者らが提案している“新評価法”が有効であることが分かった.
  • 鈴木 榮一
    セッションID: A4-2
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/16
    会議録・要旨集 フリー
    昨今、社会的な環境への関心の高まりとともに、各地に循環型社会形成の推進を目的にした環境啓発施設(=環境教育・学習施設)が少なからず誕生している。本稿では、啓発施設運営の実践研究から、環境教育を担う地域の連携拠点(ハブ)化へ向けた取り組みを紹介し、全国の環境系教育施設のネットワーク化を提案するものである。
  • 三好 裕司, 増田 裕機, 橋本 隆史, 二澤 保紀, 有村 恒, 大下 和徹
    セッションID: A4-3
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/16
    会議録・要旨集 フリー
    小学生のごみ処理施設の見学の現状を把握するために、小学生及び引率の教師に対してアンケート調査を実施した。アンケートの内容は、ごみ処理施設の見学を通して学習すべき知識を得たか、3R行動を実践したいとの意識変化に寄与することができたか、等を確認できる内容とした。その結果、ごみ処理施設の見学は有効であることが確認できた。さらなる改善策として、副読本と施設見学を一体的な内容にすれば効率的な学習が可能になること、最終処分場及びごみ処理費用に関する説明も必要なこと、3R行動の動機付けのためには身近な事例にブレイクダウンする必要があること、等の知見が得られた。
  • 森 朋子, 大迫 政浩
    セッションID: A4-4
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/16
    会議録・要旨集 フリー
    環境教育の分野では,「持続可能な開発のための教育(ESD)の10年」がスタートしており,従来からの自然教育や公害教育という枠組みを超えて,持続可能な発展に係わる様々な側面から総合的に取り組むことが重視されはじめている。そこでは,環境問題の解決に必要な多面的知識,スキル,態度の育成を目指すことや,学校以外の様々な教育の場を活用すること等が議論されている。これらの動きは,従来型の環境教育では扱い難かった廃棄物資源循環分野特有の問題に,新しい教育のあり方を見いだせる可能性をもっている。そこで本稿では,環境教育分野に携わるステークホルダーにインタビュー調査を実施し,そこで得られた様々な課題をフォーマル教育,ノンフォーマル教育,インフォーマル教育という3つの教育の場に沿って整理した。そのうえで,特に廃棄物資源循環分野に関係が深いと思われる課題について,当該分野の現状を踏まえて今後の方向性を考察した。
  • 花嶋 温子, 福岡 雅子
    セッションID: A4-5
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/16
    会議録・要旨集 フリー
     多数の自治体が「恋するフォーチュンクッキー」のダンス動画を製作し、インターネット上の動画投稿サイトで公開している。そして、その自治体のおすすめの場所をPRしている。しかし、自治体が製作するダンス動画に、ごみ処理施設が出てくることはなかった。そこで我々は、ごみ処理を担う処理施設を「恋するフォーチュンクッキー」のロケ地として、施設で働く職員やごみ収集担当者などと一緒にダンスを撮影し、動画を完成させて公開した。
     ごみ処理施設のイメージアップのために製作して公開した動画のその後について、視聴者などの反応を検証した結果を報告する。今回の動画配信は、自治体が公開しているごみ減量関連の動画などに比べて、再生回数が桁違いに多かった。また、「楽しい」「笑える」という反響が多かった。今回の経験で、廃棄物への認識を広報する際に持つべき視点を、いろいろな立場の人たちと共有したいと考えている。
  • 伊藤 佑真, 尾崎 泰介, 坂本 拓海, 寺田 智徳, 馬場 ひかり, 森 尚子, 赤尾 聡史
    セッションID: A4-6Poster2
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/16
    会議録・要旨集 フリー
    廃棄物の分別促進を目的に,そのきっかけづくりとして“分別の様子が伺えるごみ箱”を用意した.透明ごみ箱をペットボトル用のごみ箱として配置し,既存のごみ箱と比較した結果,ペットボトルのラベル除去率が有意に向上した.さらに,透明ごみ箱の配置をきっかけとして,ペットボトル分別行動が促進される傾向も伺えた.
  • 松井 康弘, 足立 裕紀
    セッションID: A4-7Poster1
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/16
    会議録・要旨集 フリー
    循環型社会の構築に向け、Recycleに関する法制度・システムの整備が進む中、本来優先すべきReduce/Reuseの2Rの取り組みが立ち遅れているのが現状である。また、先行研究において、20-40代の若年層・学生等の分別参加率が相対的に低いことが明らかとなっており、2R・若年層の普及啓発が課題となっている。本研究では、主に若年層が参加する岡山市の飲み歩きイベント「ハレノミーノnishigawa」、「有機生活マーケットいち」と連携して3R体験イベント「食べきりーの飲みきりーので、はじまるオニ退治」を開催し、参加者に対する3Rの普及啓発を図ることとした。また、参加者に対してアンケート調査を実施し、3Rに対する認知・参加・今後の意向等の実態を調査したので結果を報告する。
  • 吉田 飛雄士, 鈴木 慎也, 高橋 史武
    セッションID: A4-8Poster2
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/16
    会議録・要旨集 フリー
    循環型社会の形成という社会的機運を背景に、ペットボトルを分別収集する自治体が増えつつある。回収されたペットボトルのリサイクル性を左右する要因としては異物の混入状況やペットボトルの状態(キャップの有無、ラベルの有無、内部の洗浄の有無など)が挙げられる。本稿では、回収ペットボトルの品質を高めるためのエコ行動(キャップをはずし)に着目した。ゴミ箱のデザインを計6パターン作成し、デザインによってペットボトルの廃棄行動や他のゴミとの選別性に影響が現れるか調査した。ボトル本体とキャップ用のゴミ箱をそれぞれ個別に用意するよりも一体型し、捨て口付近に明確に指示表示をしたデザインがエコ行動を最も促す効果を示した。Webアンケート調査においても同様の結果が得られ、デザインによってペットボトルの廃棄行動を誘導できることを示した。
A5 廃棄物管理・計画
  • 岡山 朋子, 神本 祐樹, 市野 良一
    セッションID: A5-1
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/16
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    平成25年4月より小型家電リサイクル法が施行されたが、回収を実施している自治体は全体の20%にすぎない。本研究では、実施自治体である豊橋市について、市役所および認定事業者へのヒアリング調査、および市民への小型家電リサイクルに対するアンケート調査を実施した。さらに名古屋市の状況と比較することによって、熱心に実施している自治体の法制度への考え方と、小型家電リサイクルシステムがより実効性あるものとするためにどのような課題があるか、どのようなシステムとすればよいかを検証した。  
  • 高畑 恒志, 山田 正人
    セッションID: A5-2
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/16
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    アジア新興国においては、その急激な経済成長と社会発展に伴い消費が拡大する一方で、廃棄物や汚水の発生量も増大して、その適正処理が問題となってきている。日本が有する廃棄物処理・資源循環技術を新興国に移転するにあたっての都市圏管理との協働の必要性と課題について検討した。アジア新興国のメガシティ圏の都市運営・管理の視点からみると、資源循環型社会に期待されている役割は、公衆衛生確保、環境負荷削減、資源循環、低炭素社会の4つの階層に分けられると考えられる。廃棄物処理・資源循環は都市圏管理と特に用地・土地造成、交通・輸送システム、需要先確保において連携が必要である。具体的には水分管理、排熱利用、産業連携、保管、発電、バイオマス利用、汚水処理システム、人工湿地、自然還元などが連携が可能な分野として挙げられる。
  • 矢野 順也, 酒井 伸一
    セッションID: A5-3
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/16
    会議録・要旨集 フリー
    現在国内で稼働中の焼却施設の多くが老朽化により近い将来更新を迫られる状況にあることから、焼却施設の更新に伴うメタン発酵(AD: Anaerobic digestion)施設導入のエネルギー回収および温室効果ガス削減効果のポテンシャルを明らかにすることを目的に解析を行った。
    結果として、AD施設を導入することで、現状に比べ、2020年、2030年にそれぞれ37%、64%の発電電力量増加が期待できることが明らかとなった。AD施設の発電量ポテンシャルは、2020年、2030年それぞれで1200 GWh/年(発電能力17万kW)、2800 GWh/年(発電能力41万kW)と試算された。中長期の視点に立ったMSW処理戦略として、AD施設導入は将来のMSW広域処理システムにとっても十分検討する価値がある道筋であることが示唆される。
  • 橋本 岳, 陳 正源, 大村 健太, 清水 康, 小野田 弘士, 永田 勝也
    セッションID: A5-4
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/16
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    近年の循環型社会形成の中でバイオマス利用が注目されているが,食品系・畜産系廃棄物は有効な利用が進んでいない.その原因の一つとして,地域の廃棄物の種類や排出量が把握されておらず,収集運搬が非効率であることが挙げられる.そこで,本研究ではGISを活用し,モデル地域内の廃棄物の排出状況を可視化するとともに,その利用計画を支援するシステムを構築した.その結果,食品産業系はモデル地域の中央部と東部で,畜産系は北部で排出量が多くなることがわかった.また,食品系・畜産系廃棄物が利用可能なリサイクル技術である堆肥化,飼料化,メタン発酵について,各製造物の潜在需要量と供給可能量を推計し、需給バランスを把握した.その結果,モデル地域では堆肥の供給可能量が潜在需要量よりもはるかに多いこと,メタン発酵等の新規リサイクル施設のニーズがあり,供給可能量もあることがわかった.
  • 鈴木 和将, 藤原 健史, 川本 克也
    セッションID: A5-5
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/16
    会議録・要旨集 フリー
    現在、廃棄物系バイオマスのガス化改質技術としてガス化/多段触媒変換プロセスの開発を行っている。今後、本プロセスを地域に適用し、低炭素社会及び循環型社会を実現していくためには、プロセス開発の発展により、ガス化改質施設の更なる効率化を目指していくとともに、広く薄く賦存している廃棄物系バイオマスをどのように効率よく利用していくかが重要な鍵となってくる。そこで、本研究では、開発を行っているガス化改質施設の配置の最適化を目的に、埼玉県を対象として産業廃棄物である木くず類発生分布を産業廃棄物管理票(マニフェスト)データを用いて推計を行い、さらに、地理情報システム(GIS)を用いて、これら発生する廃棄物のガス化改質施設までの輸送距離を最小化するための最適配置について検討を行った。
  • 橋本 治, 横内 憲久, 三橋 博巳
    セッションID: A5-6
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/16
    会議録・要旨集 フリー
    清掃工場は都市施設として社会的に重要な役割を果たしている。一方、工場は忌避施設として扱われ、特に直接資産価値の減少につながる地価の下落は、多くの影響要素により構成される地価の性質から、解決が難しく工場立地の大きな障害の一つとされている。工場立地計画におけるリスクコミニケーションからも地域性を考慮した地価変動の影響範囲を把握することは重要となっている。本論では東京23区の住宅地、工場地、業務地に立地する工場について、路線価による地価変動の調査を行い影響範囲の推定を試みた。
  • 川嵜 幹生, 磯部 友護, 鈴木 和将, 渡辺 洋一
    セッションID: A5-7Poster1
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/16
    会議録・要旨集 フリー
    不燃ごみの中には現在の不燃ごみの分類や処理方法が適切であるとは断言しづらいほど内容物が残っている使いかけや未使用の化粧品や医薬部外品が含まれていた。これらの製品中には様々な化学物質が含まれているため、埋立地や浸出水処理施設への負荷が危惧される。 そこで、本研究では化粧品、医薬部外品、及び医薬品に係わる埼玉県内自治体の分別ルールを各自治体や一部事務組合の作成したごみの分け方・出し方マニュアルやごみ分別辞典等から調べ、これら廃棄物の適正分別について検討するとともに、不燃ごみ中から採取したこれら製品の使いかけや未使用品を用いて溶出試験を行い、埋立地への汚濁物質溶出負荷について検討した。
  • 原口 義信, 納所 圭一, 行本 正雄
    セッションID: A5-8Poster2
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/16
    会議録・要旨集 フリー
    有機性廃棄物の処理には、メタン発酵、堆肥化、焼却、分解の4つがある。しかし、メタン発酵技術はメタン発酵の反応器から出てくる発酵残渣と排水の処理にかかるコストとエネルギーが大きく、全体のプロセスの経済性やエネルギー効率に問題が発生する。さらに堆肥化は数か月かけて行うので、その間有機性廃棄物を寝かせ、1日1回程度撹拌する設備が必要なため広い面積での建設と堆肥をそのまま利用すると土壌の窒素の含有量が多くなりすぎる問題がある。焼却は生ごみの含水率が高いため焼却にかかるコストが大きいことや焼却による二酸化炭素の発生という問題がある。よって本研究では、直接分解でCO2・H2Oに分離する技術である全自動生ゴミ消化機について紹介する。
A6 LCA・低炭素社会
  • 中越 達也, 竹原 裕人, 大村 健太, 清水 康, 小野田 弘士, 永田 勝也
    セッションID: A6-1
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/16
    会議録・要旨集 フリー
    本論文ではエネルギーセンターと防災拠点としての両面から清掃工場の価値工場について提案することを目的とする.まず清掃工場のエネルギーセンターとしての要件を導出するため清掃工場のエネルギー利用の現状についてデータベースを構築し,分析を行った.また防災拠点としての要件を導出するため,災害時の清掃工場の被害状況についてデータベースを構築し分析を行った.その結果それぞれの要件について処理能力100t/D以上,供給先施設との距離300m以内,築年数10年以内,海岸線からの距離5km以遠の4つを導出した.そしてその要件を満たす清掃工場を全国から抽出したところ,要件を満たす清掃工場の地域分布にはエネルギー利用割合による差が見られた.またそれらのエネルギー効率に関しても調査したところ発電効率,熱利用効率ともにまだ低いという結果になった.
  • 橋本 征二, 川西 博貴
    セッションID: A6-2
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/16
    会議録・要旨集 フリー
    温室効果ガス(GHG)インベントリ報告書においては、いくつかの部門に分けてGHG排出量が報告されているが、エネルギー回収を伴う廃棄物の燃焼は「エネルギー部門」及び「廃棄物部門」にまたがる排出源となる。本研究では、廃棄物燃焼起源のGHG排出量に関する5つの報告オプションを対象に、一般廃棄物の廃棄物発電の促進や発電効率の向上へのインセンティブを比較検討するとともに、両部門で報告されるGHG排出量を試算した。その結果、廃棄物発電の発電効率が火力発電と同じと仮定した場合の排出量をエネルギー部門で報告し、残りを廃棄物部門で報告する方法が、最も適当と考えられた。
  • 藪口 京介, 中久保 豊彦, 東海 明宏
    セッションID: A6-3
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/16
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、農村域におけるバイオガス回収計画をごみ処理広域化やし尿処理施設の更新との連携を踏まえて設計し、エネルギー収支、温室効果ガス(GHG)排出量の2指標で評価した。 更新ケースとして、ごみ処理広域化(X: 2施設に統廃合・ボイラ発電なし、Y: 1施設に統廃合・ボイラ発電あり)、バイオガス回収方法(0: 導入なし、1: ごみ焼却施設での乾式メタン発酵、2: 下水処理施設での混合消化)、汚泥処理方法(a: 直接脱水汚泥の埋立、b: 消化脱水汚泥の埋立、c: 乾燥・堆肥化)を踏まえ、5ケース設定した(X-1-a、Y-0-a、Y-1-a、Y-2-b、Y-2-c)。対象地域は兵庫県の但馬地域とし、更新が完了する2025年を評価対象年次とした。 評価の結果、GHG排出量でY-2-cが36.3 [t-CO2eq/日](現状技術条件と比較して43%の削減)と最も改善できる結果を得た。
  • 和泉 昭宏
    セッションID: A6-4
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/16
    会議録・要旨集 フリー
    2012年には,年間約1,000万トンの樹脂が生産され,その約80%が有効利用されている。内訳は,マテリアルリサイクル204万トン,ケミカルリサイクル38万トン,エネルギー回収502万トンである。一方,単純焼却,埋立は,各々96万トン,89万トンである。今回,特に、廃プラスチック残渣量および残渣有効利用量を推算し、LCA手法により環境負荷削減量を算定評価した。消費エネルギー削減量は229PJ,CO2排出削減量は1620万トンと算定された。今回、業界有識者ヒアリング等による市場実態調査(新規樹脂代替率や廃プラスチックの有効利用処理工程における残渣及び残渣経路調査)を本算定に組み込むことにより、精度の高い環境負荷削減評価の定量法に仕上げることができた。本手法について議論する。
  • 松田 健士, 平井 康宏, 浅利 美鈴, 井伊 亮太, 酒井 伸一
    セッションID: A6-5
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/16
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、京都府京都市の家庭ごみを対象に、①家庭ごみの3R取組による温室効果ガス削減量の試算、②廃棄物部門の統合的なGHG排出量指標の試算を行った。まず、①の結果から現在の京都市の状態はレジ袋や食品ロスの潜在的な排出量の約7割が削減された状態であると推定され、食品ロスの削減によるGHG削減量が非常に大きいこと、また、マイボトルの利用によるGHG削減量はペットボトルのリサイクルと同程度であることが示された。次に、②の試算により、2Rを含めた家庭系廃棄物部門全体のGHGという「質」に着目した推移やポテンシャルが可視化できた。リサイクルによる削減効果は京都市の森林吸収による削減量の約20%、発生抑制可能物の生産流通に伴う排出量は京都市の家庭部門の排出量の約5%に相当した。この発生抑制可能物の内訳は食品ロスや紙製・プラスチック製容器包装および紙おむつ・ティッシュなどの使い捨て商品などであった。
  • 島村 恭平
    セッションID: A6-6
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/16
    会議録・要旨集 フリー
    香川県土庄町豊島で行われている豊島廃棄物等処理事業は共創という理念の下で進められている.この理念からも事業の進捗状況を事業者,住民,市民間で情報共有することは重要である.そこで,GPS測量による処分地の3Dモデル化を行い,事業の可視化を検討した.また,豊島での廃棄物処理事業について,事業全体および中間処理施設での環境負荷を定量的に評価を行った.経年変化を見ることで,処理について,環境負荷が増加傾向であることがわかった.
  • 奥田 拓也, 吉田 登, 金子 泰純, 山本 祐吾, 小川 宏樹
    セッションID: A6-7Poster1
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/16
    会議録・要旨集 フリー
    バイオガスは,再生可能エネルギーの1つであるバイオマスから回収,利用されるエネルギーである。下水汚泥の消化工程を中心に適用されるいわゆる湿式メタン発酵に対して,近年は生ごみや紙ごみからもバイオガス生成が可能な,乾式メタン発酵技術が開発され,いくつかの自治体において導入されている。本研究では和歌山県内における,廃棄物発電施設のない清掃工場を対象に,乾式メタン発酵によるバイオガス回収の導入を想定した場合の回収エネルギー量について基礎的な分析を行った。分析の結果,和歌山県内の投入可能なバイオマスからのバイオガス回収量は熱量換算で約424TJ/年であることや,基幹的設備改良を考える時期に相当する15~20年の供用年数を迎える地域でのバイオガス回収量が多いことが分かった。
  • 菅 洋輔, 中久保 豊彦, 東海 明宏
    セッションID: A6-8Poster2
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/16
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、1) 下水処理施設・ごみ焼却施設間連携での更新計画(濃縮汚泥・厨芥の混合消化施策、一般廃棄物・脱水汚泥の混合焼却施策)の導入効果分析、2) 同2施策の実施可能性に係る地域類型を行った。 1) ケース1(厨芥:ごみ焼却・排熱発電,脱水汚泥:高温焼却)に対し、厨芥を下水処理施設の消化槽で受け入れるケース2、厨芥の消化槽受入とごみ焼却施設での脱水汚泥受入を実施するケース3を設定した。人口30万人を機能単位とした温室効果ガス排出量の評価では、対ケース1比でケース3では35.9%削減された。 2) 14の都市を対象に施策導入の適合性(AP)と脱水汚泥・濃縮汚泥発生の集中分散性(IP)の2軸で分類した。結果、横浜市、大阪市、神戸市、福岡市、熊本市の適合性が高く(両方の連携施策のAP が0.7以上)、横浜市では濃縮汚泥、大阪市では脱水汚泥発生源の集約性が高い(IPが0.7以上)と判定された。
  • 中尾 彰文, 吉元 剛, 山本 祐吾, 吉田 登
    セッションID: A6-9Poster1
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/16
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,兵庫県西宮市をケーススタディの対象地として取り上げ,近接する清掃工場と下水処理場が連携して下水汚泥と家庭系厨芥類を嫌気性消化処理するシステムを構想し,それによるCO2排出量の削減効果を定量的に評価した.分析の結果,嫌気性消化技術を下水処理場に導入し,清掃工場で消化後の残渣を焼却するシステムが最も高いCO2排出削減ポテンシャルを有することがわかった.これは,消化技術導入に伴う消化ガス発電量の増加,残渣を家庭系一般廃棄物の焼却に追加することにより,ごみ発電量の増加を見込めるためである.また,汚泥と厨芥類を混合消化するシステムの場合には,下水処理場で集約処理することで消化・脱水プロセスにおいて,スケールメリットが働き,エネルギー消費量が抑えられ各施設で個別処理するよりもCO2排出面で有利となることがわかった.
  • 山本 祐吾, 芳元 恭大, 中尾 彰文, 吉田 登
    セッションID: A6-10Poster2
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/16
    会議録・要旨集 フリー
     本研究では,大阪府泉州地域の下水汚泥処理場に転換技術を導入し,下水汚泥由来のエネルギー・資源を周辺産業セクターで利用することによる温室効果ガス(GHG)の削減効果を定量的に評価し,地域特性に応じた下水汚泥処理の技術選択を検討した.分析の結果,下水汚泥を炭化燃料に転換して,周辺に集積している鉄鋼業等の石炭燃料代替として利用することが最も高いGHG排出削減ポテンシャルを有することがわかった.これは,エネルギー需給が空間的にやや乖離しているため,炭化燃料やオイルといった可搬性のある燃料に転換することで,隣接立地する産業工場以外の需要家にも供給可能となることによる.このように,下水処理場や清掃工場などの都市環境インフラに低炭素技術を導入する場合には,地域内に立地する産業インフラでのエネルギー需要などの地域特性を踏まえた技術選択が必要であるという示唆が得られた.
A7 海外調査
  • 吉田 充夫
    セッションID: A7-1
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/16
    会議録・要旨集 フリー
    イランイスラム共和国では、2004年に廃棄物管理法が制定され、この法律に基づいて中央政府と地方自治体の廃棄物管理事業が再編整備された。同法は、都市で発生する一般廃棄物について、その処理責任を地方自治体とし、これらの事業実施を所轄する中央政府の官庁を内務省と規定した。この新しい体制を機能させイランの廃棄物管理を近代化するためには、事業を担う人材の育成が必要であり、全国レベルの研修によって廃棄物管理事業に携わる人材の積極的育成、資格認証制度の構築が図られつつある。一方、技術上の課題としては、最終埋立処分場の改善や衛生埋立処分場の建設、都市部でのごみ焼却・発電技術の導入、そのための制度改革と投資が当面の課題となっている。
  • 立福 輝生, 阿部 真悟
    セッションID: A7-2
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/16
    会議録・要旨集 フリー
    本報では、昨年に引き続き、アジア新興国のうち蛍光灯リサイクル事業の成立要件が最も整う可能性のある中国を対象とし、蛍光灯生産量の調査、現地調査及び関係者ヒアリングを行い、さらに廃蛍光灯のリサイクル処理を現地化するための事業性の検証を実施した。
  • 山田 正人, 石垣 智基, 大迫 政浩, 河井 紘輔, 久保田 利恵子, 山口 直久, 倉澤 壮児, 高野 友理, 和田 英樹, 羽山 和行
    セッションID: A7-3
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/16
    会議録・要旨集 フリー
    アジア地域で、わが国からの民間投資を基本として、アジア風土に適合した廃棄物資源循環の技術と管理手法を移転し、現地で持続的な運営が可能な静脈産業の事業モデルを立案するために、東南アジアのタイ国、ベトナム国およびマレーシア国において事業の適切な領域を分析した。ベトナム国では、ODA事業によるリサイクル品の基準と利用率の指定を契機とした、法整備との一体的展開による土石系資源の循環利用事業等が事業として考えられた。タイ国では、製造業連携による資源循環・廃棄物エネルギー有効活用等が事業として考えられた。マレーシア国では、異業種と取り込んだ工場のユーティリティーサービス事業や施設用地の有効利用等が事業として考えられた。
  • 小川 領一, de Las Pozas Cesar
    セッションID: A7-4Poster1
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/16
    会議録・要旨集 フリー
    キューバ最大の支援国だったソ連邦が1991年に解体され、更に米国は経済制裁を強化したため、キューバ経済は深刻な事態に陥った。これはハバナ市の廃棄物管理にも影響を及ぼした。その後、幾分経済は回復したが、廃棄物は増加傾向にあった。この状況に対し、我が国はマスタープランの策定、中古収集車の供与、技術協力プロジェクトの実施を行ってきた。この技術協力プロジェクトでは、減量化をめざして大規模排出者から有機ゴミの分別収集とコンポスト生産のパイロットプロジェクトが実施された。本稿は、この実施されたパイロットプロジェクトについて、カウンターパート機関であるハバナ市公共サービス局の職員が担った役割に着目し、プロジェクトマネジメントにおけるコミュニケーション及びステークホルダーマネジメント視点から考察するものである。
A8 ごみ文化・歴史
  • 古澤 康夫
    セッションID: A8-1
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/16
    会議録・要旨集 フリー
    1960年,ニューヨーク市清掃局作業部長のヘンリー・リーブマンが来日し,東京都の清掃事業に対して助言を行った。本稿では,リーブマンの助言の内容を手掛かりに1950年代アメリカの「ゆたかな社会」におけるごみ処理に関して考察を加えた。リーブマンは「ゆたかな社会」に適合した公共サービスとして確立されつつあったニューヨーク市の清掃事業について語ったのだが,こうした助言は冷戦期におけるアメリカから西側諸国への「ゆたかな社会」の輸出の一部と捉えることができる。他方、同じ1960年に出版されたV. Packardの“The Waste Makers”は大衆の欲望を操作して浪費をつくりだすアメリカの産業を批判したのだが,この反消費主義自体,「ゆたかな社会」で消費される商品であった。環境主義のrationalesは,公衆衛生の司牧的言説のヴァリアントであると同時に,このような反消費主義にも由来している。
  • 磯辺 咲菜, 石井 明男
    セッションID: A8-2
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/16
    会議録・要旨集 フリー
       戦後10年の昭和31年に発足した東京都清掃局は、経済復興と共に増え続けるごみ量に対応するため、従来の人力での清掃事業の機械化を進めていた。
       清掃局は大都市の清掃事業をどのようにマネジメントしていくか模索をしていた昭和35年、ニューヨーク市清掃局からヘンリー・リーブマン氏を招へいし、収集、運搬、処理、処分の全てを視察し多くの提言を行った。提言は、厨芥、雑芥の分別収集の廃止、建築現場道路のごみ散乱防止、職員の待遇改善など特徴的な提言がある。
        東京都清掃局は東京オリンピックが開催される1964年前までに、ふた付容器によるごみの混合収集、焼却施設の改善、埋立方法の改善、清掃パトロール、河川清掃機械化、道路清掃機械化、吸い殻処理作業、技術職の補強、作業員の待遇改善等に取組んだ。
        これら東京都清掃局による清掃事業の近代化はリーブマンの提言に学ぶところが多かったと思われる。
  • 石井 明男, 齋藤 正浩, 松原 ひろみ, 長田 顕泰, 矢尾 和也, モガ ガマルディン, ジョセフ ジーナ
    セッションID: A8-3
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/16
    会議録・要旨集 フリー
    2011年7月に南スーダン共和国として独立した同国の首都ジュバでは都市衛生環境の悪化が課題となっていたが、廃棄物政策・計画を司る環境省及び廃棄物管理を実施する主体であるジュバ市及びジュバ郡の課題対処能力は乏しく、能力強化(キャパシティ・ディベロップメント)は喫緊の課題となっていた。こうした背景からJICAは南ス国からの要請に基づき、2011年7月にジュバにおける廃棄物管理能力強化に係る協力を南ス側と合意し、同年10月から活動が開始された。本論では、ジュバ市の関係者の基本的な実力と知識、組織の力、住民の力、機材の充当能力、ジュバの文化や風土などを鑑みたジュバ市の廃棄物事業におけるキャパシティ・ディベロップメントをどのような骨組みで実施したかを示した。このような複合的なアプローチが、あらゆる面で脆弱な南ス国で効果的であり、収集や最終処分だけでなく廃棄物管理全体として大きな成果を得ることができたと考えられる。
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