抄録
2011年7月に南スーダン共和国として独立した同国の首都ジュバでは都市衛生環境の悪化が課題となっていたが、廃棄物政策・計画を司る環境省及び廃棄物管理を実施する主体であるジュバ市及びジュバ郡の課題対処能力は乏しく、能力強化(キャパシティ・ディベロップメント)は喫緊の課題となっていた。こうした背景からJICAは南ス国からの要請に基づき、2011年7月にジュバにおける廃棄物管理能力強化に係る協力を南ス側と合意し、同年10月から活動が開始された。本論では、ジュバ市の関係者の基本的な実力と知識、組織の力、住民の力、機材の充当能力、ジュバの文化や風土などを鑑みたジュバ市の廃棄物事業におけるキャパシティ・ディベロップメントをどのような骨組みで実施したかを示した。このような複合的なアプローチが、あらゆる面で脆弱な南ス国で効果的であり、収集や最終処分だけでなく廃棄物管理全体として大きな成果を得ることができたと考えられる。