抄録
ISO22262-2による定量分析法は、①浮遊沈降法による重量法(視認出来る繊維を実体顕微鏡でピックアップして計量する方法)と、②ポイントカウント法(鉱物学で利用される岩石中の各鉱物の重量組成比を求める方法、低濃度の繊維濃度に対処)から成る包括的な分析法になっている。しかしながら、我が国における従来のアスベスト定量法がX線回折装置を用いる方法であるのに対して、国際標準法が偏光顕微鏡を用いた方法を採用している点において、両者の定量結果の差異や各分析機関の分析精度などに懸念が生じている。残念ながら我が国のアスベスト分析においてはポイントカウント法の理解が普及していないため、現状における分析精度が把握できていないのが実情である。そこで、このポイントカウント法に習熟し、低含有率サンプルの分析精度を高めることを目的として基礎的検討を実施したので、その結果を報告する。