本研究は、PCBの発生源の大気中PCB濃度への寄与割合の推定を目的に温暖期と寒冷期に分けて2012年の大気中PCBへの排出インベントリ及び大気中PCB濃度を環境動態モデルを利用して推定し、大気モニタリング濃度と比較した。対象PCBは同族体は1~7塩素化物を、異性体はコプラナーPCBを対象とした。PCBの発生源は非意図的な産業系発生源及び使用・保管中PCB製品からの揮発とした。同族体別濃度は、温暖期と寒冷期を比べると、推定濃度、大気モニタリング濃度共に全体的に温暖期の方が濃度が高くなった。また1塩素化物に注目すると推定濃度では産業系発生源の寄与が非常に大きくなった。 異性体別濃度は、#77,#114,#118は産業系発生源と使用・保管中PCB製品のどちらの大気中濃度への寄与も同程度であり、#126,#169は産業系発生源の寄与が使用・保管中製品と比べ非常に大きくなった。