抄録
平時における災害廃棄物対策の充実・促進と、発災後における災害廃棄物処理の実施支援を目的とし、有識者、地方自治体関係者、関係機関の技術者、関係業界団体等から構成されるD.Waste-Netが発足した。この中で、研究者等の有識者は「支援者グループ」の一員として、発災後には要請に応じて被災地への知識提供・技術支援を行うことが求められているが、その役割が十分議論されていない。本稿では、D.Waste-Netの枠組みの検討に役立てるため、平成28年熊本地震を事例に災害廃棄物処理実行計画が策定されるまでの初動期の状況、対応を整理し、有識者による災害廃棄物処理支援のあり方を検討した。結果、有識者は過去の事例の提供とともに当該事例の状況に応じたリスクについて助言を行うこととを提案し、有識者と他の支援主体との役割分担を明確化・共有するとともに、支援者間の緊密な情報共有・連携の重要性を指摘した。