抄録
近年,特に西日本において竹林の放置が目立ち30年間で竹林面積が10%以上増加し,全国で約16万1千haにも至る。この放置竹林の増加問題の中,伐採された竹廃材の有効利用が急務となっている。竹は繊維質で非常に吸収性の高い素材であり,竹をチップ化した材料は非常に高い吸水効果を有することがわかっている。一方,ため池の改修工事などで発生する高含水比の浚渫土は,高含水比で軟弱なため,荷積み,運搬が困難であり脱水や固化処理等の改良を行う必要がある。本研究では,チップ化した竹の吸水性を用いて,高含水比浚渫土の含水比低下と強度増加を目的とした新しい軟弱地盤改良技術の確立を目指し検討を行った。本論文では,実際の浚渫土およびため池底泥を用いて改良効果の検討を行い,粘土試料の含水比と竹チップの乾湿状態を把握することで,地盤改良に必要な竹チップ添加率の算出が可能であることを示唆した。