抄録
本報告では,高濃度排水処理に適した土壌菌を分離・培養し,包括固定化の有無による処理能力を検証し,包括固定化による優位性を検討した.
結果,土壌菌の同定により,これまで使用していた土壌菌体は放線菌に類似した性質を持つ菌種であると断定した.この菌体は悪食菌であり単一で高濃度排水処理が可能である.
バッチ実験の結果より初期COD値1500(mg/ℓ)に対し,処理率90%以上と高く安定した処理をした.
担体の崩壊に伴う処理効率の低下が15日間隔でみられたが,CaCl₂で補強することにより, 約1ヶ月の連続処理が図られ,処理能力の低下は見られなかった.
以上の結果より,今回使用した菌体は,放線菌に類似した菌種であり,包括固定化することでバルキング現象を抑制し,効率よく排水処理を行うことが可能である.