抄録
最近,焼却施設オンサイトで安価な生石灰から消石灰を製造し,塩化水素と硫黄酸化物の乾式処理に用いることで排ガス処理コストを削減しようとする試みがある。本研究はその基礎研究として生石灰とラボスケールの消化装置を用い,滞留時間,水添加率,撹拌速度,薬剤添加の製造条件が消石灰の物性に及ぼす影響を調べてこれらの物性と酸性ガス除去性能およびハンドリング性との関係を明らかにした。本装置では滞留時間46分以上で98%の高い消化率が得られた。水添加率= 2.5で製造した消石灰は相対的にハンドリング性の指標が悪くなっていたが,薬剤添加により多少の改善効果が得られた。酸性ガス除去性能は水添加率=2.5,撹拌速度20rpmの条件で最も高かったが,薬剤添加によるさらなる性能向上は見られなかった。