抄録
ガス化溶融および灰溶融施設から発生する溶融メタルについて,金などの希少金属が溶融メタルに移行することから,金属鉱石の代替物とする考え方がある。本研究ではさまざまな溶融施設からメタル試料を採取し,資源化の可能性を調べた。
メタルを産出する28施設のサンプルを分析し,対象施設を1電気式灰溶融,2燃料式灰溶融,3コークスベッド式ガス化溶融,4酸素式ガス化溶融に分類した。メタル中のAu濃度に対するPt,Pd,Cu濃度は正の相関が見られ,これらの金属の由来が同一であることが分かった。Au,Pt,Pd濃度はグループ3が他グループより少ない傾向が見られたが,主用金属であるSi,Ca,Feのメタルへの移行量が高く,希釈されたためである。Au,Pt,Pdの搬出物全体あたりの重量は施設間で大きな差がなく,施設へ搬入されるAuなどの量がほぼ同じであると予想される。