抄録
「水銀に関する水俣条約」の発効を受け、昨年10月から廃金属水銀等の処理方法として、精製・硫化・固型化が義務付けられることとなった。本研究では、ヘッドスペース試験について基礎的な実験を行い、ヘッドスペース試験を廃金属水銀等の処理物質について大気安定性を評価する手法として確立させることを目的とした。本実験では、遊星ボールミルで作成した二種類の硫化水銀を混合させたものについて、試料量、湿度、温度の三つのパラメータを変化させヘッドスペース試験を行い、各パラメータの影響を考察した。その結果、試料量については相関なし、湿度については湿度上昇に伴い測定値のばらつきが大きくなり値はわずかに増加、温度については上昇に伴い測定値も増加、といった傾向が見られた。また、FactSageによる計算も加えて行った結果、測定値と計算値の定性的な傾向の一致が確認でき、各パラメータの影響について一定の裏付けが得られた。