抄録
2011年の東日本大震災による津波堆積物には,草本種や海底堆積物などの有機物が多量に含まれており,仮置場での火災原因となった.よって,処理現場においてより正確かつ簡便に実施可能な有機物含有量試験法が求められる.そこで強熱減量法を改良することとした.従来の試験手順・条件では,有機物含有量が過大評価されやすい.本研究では木質系バイオマスの反応挙動に注目しつつ,定温加熱における試料重量の時間変化を測定した.バイオマス中ではセルロースの接着剤として存在するリグニンは,単純にセルロースと混合されただけでは熱分解および燃焼自体を妨げ,チャーのような固体残留物を生成した.試料重量の影響を調べると,初期重量が大きいほど燃え尽きるまでの時間が長くなった.一方,異なる形状のるつぼを使用すると,初期重量が同じでも減量挙動は変化した.るつぼに蓋をした場合,一定の隙間があっても酸素の供給が大きく阻害されていた.