抄録
産業廃棄物処理施設は、発電・熱利用に適さない中・小型の焼却炉による単純焼却が多く、次世代に向けたエネルギー利用推進が求められているところである。このような産業廃棄物のエネルギー利用の現状を踏まえ、地域特性を活用し熱・電力需要のある場所に廃棄物エネルギーを回収し活用する施設を設置できた場合の熱利用率の向上と低炭素化効果を評価・検討を行った。具体的には施設近くに大量の熱需要がある場合とない場合について比較検討を行った。
結果として近くに熱需要工場等がある場合、蒸気を電力変換しないで直接熱利用に帰することにより、発電効率は4.3%低下するものの、発電と熱利用を含めた全体の熱利用率が15.8%向上した。またCO2削減効果は4,732tの増加が見込まれた。
これらの結果からメタン化施設と廃棄物発電施設を熱需要の見込まれる工場等の近隣に設置できれば、地域の低炭素化に大きく貢献できることが確認できた。