ごみ焼却施設では、燃焼を安定化させるため、ごみピット内のごみ性状を均質化する撹拌等のクレーン操作が重要な役割を担っている。そのため,運転員が視覚的にごみ性状を認識して、均質化したごみを手動操作あるいは半自動にて焼却炉に投入しているのが実態である。当社では、「運転員の眼」を代替した機能を持つ自動クレーンシステムを構築すれば、運転業務の省力化が可能と考えた。そこで、まず「運転員の眼」の代替として、ディープラーニングを用いたごみ性状を把握するAIを開発した。そして、このAIの出力をクレーン制御へ組み込んだ自動クレーンシステムを構築した。実証実験の結果、クレーン業務の常時監視を必要としない自動運転が可能な事を確認し、自動運転率は約90%を達成した。
本稿では、このAIを搭載した自動クレーンシステムの実用性や省力化への寄与について、本AIの精度検証や実証実験の結果を交えて紹介する。