福島県内の仮設焼却施設で発生する放射性物質に汚染された焼却残渣(主灰とばいじん)は、2020年3月より減容化施設での熱処理が始まるが、副産物である溶融飛灰については放射能濃度が高く、最終処分に向けた様々な研究開発が進められている。その中心となるのは飛灰中の放射能物質をさらに濃縮して減容化する技術であり、例えば洗浄により放射性セシウムを水中に溶出させ、吸着剤により選択的に吸着して濃縮し、吸着剤を固化して廃棄体とする方法等について基礎的な検討が進められている。その必要性や適用する放射能濃度を把握して技術開発の要点を抽出し、技術的に合理的なシナリオを検討するためには、全体のマスバランスの把握が必要である。
本報告では、マスバランス計算方法を概説してその計算例を示し、運転パラメータが各発生物の量と放射能濃度に与える影響を検討した。