都市ごみ焼却施設のボイラーやエコノマイザ,減温塔などの装置に付着して捕集された灰は化学的性状が明らかになっていない。本稿では実際の焼却施設で採取されたボイラー灰及びエコノマイザ灰・減温塔灰・バグフィルター捕集灰を対象としてPb,Cr,Zn,Ca,Mn,Feの全含有量を調べた。各灰に含まれる元素の全含有量は異なっているものが多く,いずれも同一の灰とは見なせなかった。また,主灰と一緒に処理されているボイラー灰・エコノマイザ灰は,飛灰と一緒に処理されている灰と比べ,ばらつきが大きいものが多かった。焼却炉の型式の違いに着目すると,ストーカ炉とガス化溶融炉とでは,各々の灰に含まれる金属類の全含有量が異なっていた。環告13号法による溶出試験におけるpHは概ね高いアルカリ性を示したが,エコノマイザ灰のみpHが1〜2程度低い試料が散見された。