臭素系難燃剤は、難燃効率と利便性の高さから電気・電子機器や室内装飾材等幅広い製品に利用されている。一方で、臭素系難燃剤の一種であるポリ臭素化ジフェニルエーテルは「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)」で残留性・生物濃縮性・長距離移動性・毒性を有する残留性有機汚染物質として国際的に規制対象となっており、こうした規制に対する適切な管理基盤を構築するためには社会における存在量を把握することが重要である。本研究では、廃家電製品に含まれる臭素の実含有量測定を行い、そのデータを用いて臭素の市中賦存量推計を試みた。臭素系難燃剤を使用し続けた場合と規制をかけた場合の二つのシナリオに基づき臭素の市中賦存量推計を行い、規制の有無の違いを可視化することができた。