廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
第31回廃棄物資源循環学会研究発表会
選択された号の論文の255件中1~50を表示しています
A1 ごみ発生・排出抑制
  • 花嶋 温子
    セッションID: A1-1-O
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
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    天神祭は大阪で催される大規模な祭で、毎年130万人以上が訪れ多量のごみが排出される。「天神祭ごみゼロ大作戦」による活動3年目の2019年は、出だしが遅れ、ボランティア数も関与したごみや資源の量も大幅に減った。全体の運営とは別に、ペットボトルに関する調査も実施した。天神祭のエコステーションで回収した1098本のボトルのJANコードをバーコードリーダーで読み取った。ペットボトルの種類は、280種類以上あり、露店商が販売している種類を大きく上回る。また、約1割のペットボトルには、コンビニ等の会計済みテープが貼られていて、露店で売られたものではない。ペットボトルは広域に運ばれるので、捨てられた場所の関係者だけでなく製造者などが加わった回収が求められる。ペットボトルの45.8%はお茶、水、スポーツドリンクが入っていたもので、熱中症予防のための給水対策によりペットボトルを減らせる可能性がみえた。

  • 黄 蔚軒, 浅利 美鈴
    セッションID: A1-2-O
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
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    海洋ごみ問題や循環経済への移行の必要性を受け、現在世界中でプラスチック製品やごみについての対策が始まっている。日本の場合、環境省1によれば、今後プラスチック資源循環において、①リデュース等の徹底、②効果的、効率的で持続可能なリサイクル、③再生材・バイオマスプラスチックの利用促進の、3つの重点戦略を中心に実施していくと提示されている。

    京都大学では、プラスチックとの賢い付き合い方を考えて、実践するムーブメントを起こすため活動が検討されている。その一環として、学内でマイボトル普及を目指している。本研究は、今後のマイボトル普及促進にあたって、ペットボトル飲料およびマイボトルの利用実態や意識をアンケート調査によって明らかにすることを目的とした。

  • 岡山 朋子, 山川 肇, 渡辺 浩平, 栗原 和夫
    セッションID: A1-3-O
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
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    筆者らは2018年にSDG12.3研究会を発足し、家庭から排出される食品ロスとは、「未利用食品(手付かず食品)」と「食べ残し」であると定義し、その細分類を設定し分類方法(マニュアル)を開発した。この分類方法を用いて都市部・農村部において家庭ごみ細組成調査を実施してきた。本稿においては、2020年3月に山形県長井市で実施した、この分類方法に基づく家庭ごみ細組成調査の結果を報告する。なお、長井市は、家庭での生ごみ分別を20年以上続けている。したがって、本調査は分別された生ごみ中の食品ロスと、可燃ごみ中の食品廃棄物およびその中の食品ロスを分類し、食品ロスの排出実態を把握したものである。結果は、分別生ごみ中の食品ロスは42.6%、可燃ごみにおける食品廃棄物の割合は21.6%で食品廃棄物中の食品ロスの割合は45.8%だった。また、長井市における生ごみ分別協力率は60%であることが分かった。

  • 渡辺 浩平, 岡山 朋子, 山川 肇
    セッションID: A1-4-O
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
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    著者らはSDG12.3に対応する、家庭からの食品廃棄物の排出実態の把握方法を提案してきた。本報ではその方法をもとにして日本国内6区市町で行われた調査結果を紹介し、比較考察する。農村部と都市化が進んだ地域とを比較すると、農村部での食品廃棄物の割合が高い。また「食品ロス」に該当するものの割合も比較的高く、自家栽培野菜等を含む未調理の食材の廃棄の寄与が大きいことが伺える。これらは家庭菜園での栽培を行ったり、生の食材から調理することの多い生活様式に起因するものと考えられる。似たような違いが都市部の中でも単身世帯と家族世帯の間でも見られた。

     このように、家庭内での食品の流れの段階による行動に着目した分類による組成分析は排出量の差の背景や発生抑制の働きかけのターゲットとする行動を特定し効果測定するのに効果的であると考えられる。

  • 矢野 順也, 富田 悠貴, 西村 健太郎, 浅利 美鈴, 勝見 潤子, 新島 智之, 酒井 伸一
    セッションID: A1-5-O
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
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    家庭系のプラスチック廃棄物に着目し、その品目別・用途別の素材割合と分別状況を明らかにすることを目的に、商品類を含む家庭系プラスチック廃棄物の細組成調査を行った。方法手順としては、プラスチック類を17分類し、プラスチック素材の表記がある場合はその表記で判別を行い、素材表記がないものについて近赤外分光光度計(AOTF)による素材判定作業を行った。その結果、燃やすごみ、プラスっチック製容器包装合わせた家庭ごみ中のプラスチック廃棄物の組成としてはPE43%、PP25%、PET14%の順に割合が多い一方、PVCも3.6%程度含まれる結果となった。PVCは業務用ラップやその他商品の割合が高いことから、これらが塩素の起源になっていることが示唆された。また、商品類も含めるとプラスチック素材の71%、主要素材の中では特にPEやPPも70-76%が燃やすごみとして排出されていることが明らかになった。

  • 富田 悠貴, 矢野 順也, 西村 健太郎, 浅利 美鈴, 勝見 潤子, 新島 智之, 酒井 伸一
    セッションID: A1-6-O
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
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    本研究ではプラスチック製使い捨て製品の排出実態を把握することを目的として、家庭ごみの組成調査を行った。調査した品目の年間1人当たり排出量は8.1〜13.2kgとなった。重量ベースでは手さげレジ袋と飲料ペットボトルが多くみられた。コンタクト容器やストローなど1つ当たりの重さは小さいが個数ベースで量の多い品目も見られた。また、主要な使い捨てプラスチック製品についてはその素材も調査し、化石由来炭素の含有率と燃やすごみからの排出量から焼却時のCO2発生量を求めた。調査品目中では重量でポリエチレンが51%と最も多くを占めた。また、手さげレジ袋の中で5.5%はバイオマス素材を含むものであった。焼却時のCO2排出量では「手さげレジ袋」の寄与がごみ排出量で見た場合よりも大きいことがわかった。

  • 齊藤 由倫, 亀井 優也, 飯島 明宏, 田子 博
    セッションID: A1-7-P
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
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    生活系ごみの減量化に関して全国では様々な普及啓発施策が行われている。しかし、それらを網羅的に調べ、ごみ減量の直接的、或いは有料化施策等を後押しする間接的な効果を比較分析した事例はまだない。本研究は、全国の普及啓発施策をそのテキスト情報に着目して網羅的に調べ、ごみ減量効果を実証分析することを最終目標にしている。今年度は人口5万人以上の全国158自治体から、Webサイト上の500の普及啓発施策、約7万語の言語情報を取得した。これらをテキスト分析によって13の主要テーマと、テーマごとに最大10の住民介入方法に類型化することができた。特に食品廃棄関連の主要テーマは、エコクッキングやフードドライブ、地域アドバイザーの活用など多様な介入方法が見られ、自治体としてこの問題に注力している様子がうかがえた。今回この類型化結果を基にして、今後は全国自治体アンケート調査を実施する計画である。

  • 森 康浩, 中俣 友子
    セッションID: A1-8-P
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
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    本研究では、海ごみの原因となる河川付近に排出されるごみの発生抑制の対策を講じて、その効果を検証した。ポイ捨て抑制の働きかけとして特定の個人に対して河川付近でポイ捨てをしないように働きかけを実施するのではなく、環境・状況的な要因を用いて、ごみのポイ捨て抑制を試みた。岡山県津山市宮川流域と三重県四日市市天白川流域の2カ所で効果検証を行った。手続きとして、ベースラインを測定し(5週間)、草刈りを行い(5週間)、それぞれの地域の特徴を踏まえて、効果的であると推測できる働きかけ(LEDライトの設置、花壇の設置、子供の絵画の設置など)をそれぞれ行い(5週間)、ポイ捨ての量を測定した。その結果、草刈りを行う事でベースラインよりもポイ捨てが減ることが示された。さらに、それぞれの地域で取り組みを行う事で、ポイ捨ての量が減少することが示された。

  • 河井 紘輔, 大下 和徹, 楠部 孝誠
    セッションID: A1-9-W
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
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    日本は高齢化社会に突入しつつあり、大人用紙おむつの消費量も増加傾向である。乳幼児及び要介護者の紙おむつの使用実態を明らかにすることを目的として、インターネットを通じたアンケート調査(ネットリサーチ)を実施した。乳幼児の紙おむつ使用状況に関しては1,058サンプル、要介護者の紙おむつ使用状況に関しては1,119サンプルを分析対象とした。分析の結果、環境省が策定した使用済紙おむつの再生利用等に関するガイドラインで例示されている紙おむつの使用割合及び使用枚数に関するデータを見直す必要があると提言した。

  • 岡山 朋子
    セッションID: A1-10-W
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
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    筆者のゼミでは2019年10月に、大学が学生へのPRによってごみ削減効果を得られることの実証を目的として、プラスチックごみ削減キャンペーン(社会実験)を実施した。ペットボトルごみの削減のために給水機を設置してマイボトル持参を呼び掛け、リサイクル性向上のためにペットキャップやラベルの分別排出を推奨した。さらに、レジ袋の発生抑制については1枚を使いまわすことを呼び掛け、合わせてマイバッグ持参を推奨した。効果を計るため7月と10月にプラスチックごみ細組成調査を行い、また、キャンペーン後には学生を対象にどのようにキャンペーンを認識し、行動変容があったかを調査した。

    効果としては、ペットボトルは1日平均排出が約160本減少し、レジ袋は約130枚減少した。キャップを外して排出されたペットボトルは36%になった。ペットボトルの発生抑制のために、学内に給水機を設置することが極めて有効であることが分かった。

A2 物質フロー分析
  • 田崎 智宏, 河井 紘輔, 立尾 浩一
    セッションID: A2-1-O
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
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    本研究では、約半世紀にわたる一般廃棄物処理事業実態調査データのアーカイブ化を行った。1)これまでの調査報告書のPDFファイル、2) 1971〜2016年度の処理実態データとその閲覧システムの開発、3)1992〜2016年度の施設データが整備された。2)の閲覧システムは、人口規模別の時系列データの閲覧も可能である。

  • 松山 夏規, 遠山 忠, 武藤 慎一, 西田 継
    セッションID: A2-2-O
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
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    本研究では、農業の振興が期待される山梨県を事例に、食糧生産システム内で生じる窒素負荷ならびに資源の循環を一体的に把握できる窒素フローモデルを作成した。その上で、地域別に窒素の需給バランスを把握し、その見直しが行われた際のフロー変動を評価することを目的とした。食品産業に関するフローは、産業連関表の金額フローを用いて物質フローを把握し、窒素量へ変換して推計した。また廃棄物、再生資源化等のフローは各種文献・統計を用いて推計した。結果、中北地域と富士・東部地域では飼料自給率が低く、かつ域内で堆肥が供給過剰となっていることが分かった。そこで、両地域に分布する再生利用可能農地で飼料用米の生産、並びに食品製造業から発生する動植物性残渣の再利用先を堆肥化から飼料化へ転換した際の効果を試算したところ、窒素負荷ならびに窒素ベースでの循環率は改善され、食糧生産システム向上の可能性を定量的に示すことができた。

  • 中川 奈那美, 光斎 翔貴, 山末 英嗣
    セッションID: A2-3-O
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
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    これまで多くの研究にて原子力発電のライフサイクル分析が行われており,その環境影響が評価されてきた.一方で,資源利用を考慮した研究は未だ十分に行われていない.また,資源利用に関する既存研究の多くは,資源採掘で発生する廃棄資源等を加味しておらず,これら採掘活動量を考慮した包括的な評価が求められる.そこで,本研究では,採掘活動量を考慮した関与物質総量(TMR)を用いて原子力発電の資源効率を採掘活動の観点から評価する.特に,プルサーマルやトリウム燃料サイクル等原子力に固有の特徴に注目することで,使用済み燃料・放射性廃棄物リサイクルの有効性について検討することを目的とする.原子力発電1kWh当たりのTMR(TMR係数)が採掘方法によって最大約6割,燃料をリサイクルすることで約4割減少することが明らかとなり,採掘方法の考慮とプルサーマルの導入推進によって大幅なTMR係数の低減が可能になると考えられる.

  • 三俣 陽太郎, Ciacci Luca, Tao Wang, 橋本 征二
    セッションID: A2-4-O
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
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    プラスチックは加工性が高く、合成方法などによって様々な特性を有することから、多くの製品の原材料となっている。しかし、燃焼するとCO2の排出源となること、自然界に排出されると生態系に影響を及ぼすことなどから、その循環的な利用が望まれている。中でもポリ塩化ビニル(PVC)は、劣化が起こりにくい等の特性から、マテリアルリサイクルに適しているとされる。本研究では、二次資源の類型の考え方をPVCに適用し、経済社会に存在するPVCのうち二次資源として利用可能な量(二次埋蔵量)や処理が必要となる量(潜在廃棄物量)を推計し、日本・欧州・中国間での比較考察を行った。その結果、各地域の二次埋蔵量は、日本が約8,150千t、欧州が約51,656千t、中国が約4,570千tと推計され、これは同年の需要量のそれぞれ約9倍、約10倍、約0.4倍に相当すること等を示した。

  • 竹内 直輝, 土谷 悠真, 平井 康宏, 矢野 順也, 酒井 伸一
    セッションID: A2-5-O
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
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    木質材料はカーボンニュートラルな製品であるが、製造時に使用される接着剤は化石資源由来であり焼却処理時に化石由来CO2が発生する。本研究は未推定となっている木質材料由来CO2排出量の推定を目的とし、1970年から2050年までの廃木質材料・廃接着剤を予測する「木質材料・接着剤フロー推定モデル」を構築した。対象の木質材料は合板・パーティクルボードなど5種類、接着剤はユリア樹脂系・フェノール樹脂系など4種類、製品の用途は建築物・家具など4種類とした。接着剤由来CO2排出量は、2018年に約33万トン 、2030年代に約38万トンに達すると推定された。接着剤別では1990年から2000年頃まではユリア樹脂系が大半を占めるが、その後フェノール樹脂系の寄与が急増した。用途別では、住宅や家具など耐久財の廃棄物による寄与が大きく、接着剤への対策の効果が反映されるには長期間を要することが分かった。

  • 村上 原野, 光斎 翔貴, 黒木 大暉, 山末 英嗣
    セッションID: A2-6-O
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
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    道路輸送の需要の増加に伴い、使用済み自動車(ELV)の数は、継続的に増加すると予想される。ベトナムなどの発展途上国では、適切な処理とリサイクルのシステムがまだ十分に開発されておらず、重大な環境汚染と資源の拡散の原因になっており、ELVの適切な管理計画を設計することは非常に重要である。 著者はこれまで、ベトナムで主要な輸送手段として使用されているガソリンバイクを中心に取り上げてきたが、電動二輪車の比率が高まり、ガソリンバイクでは使用されていない各種素材の処分が増えることが予想される。 そのため、本研究ではまず、廃棄された電動バイクを解体し、その構成を分析することで在庫データを作成し、ガソリンバイクから電気バイクへの移行を考慮して、ベトナムで廃棄された自動二輪車の廃棄台数と材料含有量を推計した。分析の結果、2030年の二輪車の廃棄台数は、2000年に比べて1.36倍になると推定された。

  • 松井 康弘, 桐生 侑恵
    セッションID: A2-7-P
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
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    本研究では、食品ロスの国内発生量の半分以上を占める事業系食品ロスに焦点を当て、岡山県における事業系食品ロス削減・利活用に係る政策的な優先順位付け・計画的推進に資する基礎情報を得ることを目的とした。具体的には、①岡山県の市町村別・産業分類別の食品ロス発生量の推定、②フードバンク提供対象者による食品ロスの受入ポテンシャルの試算を通じて、岡山県内の事業系食品ロスの負荷構成・需給バランスを検討した。また、岡山県内のスーパーマーケットA社で発生する食品ロスを対象に、フードバンクでの食品利用や堆肥化・飼料化等の③食品ロスの処理・利活用に係るGHG排出量・コストをシナリオ評価し、その得失を明らかにしたので、結果を報告する。

  • 小口 正弘, 寺園 淳, 梶原 夏子, 村上 進亮
    セッションID: A2-8-P
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
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    国内で発生する電気電子機器由来プラスチックと含臭素系難燃剤(BFRs)のフローを推計し、中国の廃プラスチック輸入規制がそれに与えた影響を考察した。2017年度において、エアコン、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機(家電3品目)由来のプラスチックは総発生量の約7割が家電リサイクルプラントへ仕向けられ、そのほとんどは混合プラスチックか残渣として回収されたと推定された。小型家電由来プラスチックは認定事業者への仕向けが総発生量の約15%であり、マテリアルリサイクル向けの回収量はこのうち約10%と推計された。混合プラスチック選別プロセスではBFRs含有プラスチックの多くは分離されており、2018年の中国の廃プラスチック輸入禁止と日本の金属スクラップ輸出規制の強化によって国内のWEEE由来混合プラスチックの処理量は増加していることから、含有されるBFRsの適正管理も促進された可能性が示唆された。

  • 秦 三和子, 長谷山 朗, 西村 富男
    セッションID: A2-9-P
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
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    東京都内における食品ロスの発生量と業種別内訳を、複数の方法を用いて推計した。平成29年度には食品廃棄物が170〜207万トン、食品ロスが36〜64万トン発生しており、食品廃棄物に対する食品ロスの割合は21〜31%であった。また、食品産業から27〜46万トン発生し、業種別では外食産業の割合が最も高い結果となった。国の目標値が設定されている2030年に向けて削減取組を進めるため、継続的に把握できる推計方法を定めることが有効である。一方、食品ロス量の推計で用いられる「業種別の食品ロス割合」は、「可食部/不可食部」の定義に基づいた3年に一度のアンケート調査結果から設定されているが、業種や回答者個人により定義の捉え方が異なっているため、食品ロスの定義の再確認と周知が必要である。また、事業活動・生活において減らすべき食品ロスを自ら見出して削減の取組を進めるとともに、継続的なモニタリングが有効である。

  • 福田 陽一朗, 小野 理
    セッションID: A2-10-W
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
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    産業構造などの地域実態に即した循環型社会の構築を目指すにあたって、それぞれの地域におけるマテリアルフローを把握し、これを分析することが有効な手段となる。北海道全域を対象としたマテリアルフローについては北海道が取りまとめており、この結果は「北海道循環型社会推進基本計画」において示されている。しかしながら、とりわけ広大な面積を有する北海道においては、地域間の地域特性の違いが大きく、これら道内各地域を対象としたより小さな空間スケールでのマテリアルフローに関するデータは重要な基盤情報となることが期待されるものの、こうした取り組みはこれまで行われてこなかった。そこで本研究では、北海道総合計画における連携地域区分に対応した6圏域別のマテリアルフローの推計を試みた。

  • 立尾 浩一, 山田 正人, 小口 正弘
    セッションID: A2-11-W
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
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    化学物質排出移動量届出制度(PRTR制度)において届出されている化学物質の排出移動量の約6割は廃棄物処理への移動量によって占められている。その移動先である産業廃棄物処理における化学物質のフローの実態を把握することは包括的な化学物質管理体制の構築のために重要である。そのために、A都道府県における産業廃棄物処理へのPRTR届出排出移動量と産業廃棄物処理実績報告に記載されている産業廃棄物委託量との接続を行った結果について報告する。

A4 産業廃棄物
  • 佐々木 基了, 藤原 博良, 佐々木 いづみ
    セッションID: A4-1-O
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
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    排出事業者が産業廃棄物の処理責任を全うし、適正処理に取り組むためには、それぞれの業種ごとに異なる産業廃棄物の処理の際の留意点を十分に理解することが必要である。また、産業廃棄物の排出事業者は、適正処理のために必要な廃棄物情報の伝達の取組みが重要である。

    そこで、(公財)日本産業廃棄物処理振興センターでは、産業廃棄物の排出量が多く、取扱いに注意を要する廃棄物が排出されることが多い化学工業を対象に、排出事業者における産業廃棄物の適正処理に関する取組み事例を調査し、排出事業者責任の徹底と産業廃棄物の適正処理に関する体系立った理解や意識の向上を促すことを目的とした事例集を作成した。本報告は、事例集作成にあたり実施した化学工業の排出事業者へのヒアリング調査結果から、産業廃棄物情報の伝達に関する取組み、排出事業場の安全管理に関する取組み事例を参考情報として提供するものである。

  • 鶴島 亨, 伊東 匠, 藤原 博良, 佐々木 基了
    セッションID: A4-2-O
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
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    電子マニフェストは、令和元年度で年間3130万件以上のマニフェスト登録(普及率約63%)がされており、循環型社会構築に向けた基礎情報の把握等、情報活用への期待が高まっている。特に、アンケート等によらず即時性の高い産業廃棄物の処理に係る情報を取得できることは、電子マニフェスト情報の大きな利点と考えられる。

    電子マニフェストシステムの運営主体である公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター(以下「JWセンター」という。)では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がもたらす産業廃棄物の処理に係る影響について電子マニフェスト情報を整理・可視化し、証拠に基づく政策立案への活用可能性の検討を行った。

  • 佐伯 孝, 小口 正弘, 谷川 昇, 大久保 伸
    セッションID: A4-3-O
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
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    PRTR制度では、特定の要件を満たした事業者は、事業活動に伴う環境中への指定された化学物質(指定化学物質)の排出量や廃棄物等として処理するために事業所外へ移動させた量(移動量)を自ら把握し、国に届出を毎年行うこととしている。また、 各事業所は、廃棄物を委託処理している場合には、産業廃棄物管理票交付等状況報告(マニフェスト交付等状況報告)として、産業廃棄物の種類、重量、処分先等を自治体に報告する義務が課せられている。そこで、本研究では、PRTR届出情報とマニフェスト交付等状況報告の情報(マニフェスト情報)の比較等を行い、各情報の活用可能性について検討したので、その結果を報告する。

  • 山田 正人, 立尾 浩一, 近藤 康之
    セッションID: A4-4-O
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
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    産業廃棄物は排出地からその域内・域外を移動して、中間処理で資源回収や、減量、無害化された後に、再生利用先や最終処分地へと向かう。この物流の実態を捉え、それが生ずる要因を分析し、産業廃棄物市場の構造を示すことは、処理業者にとっては需要予測、排出事業者にとっては経済的な処分先の選択、行政にとっては不適正な処理処分の監視などに有効である。発表者らは、排出事業者および処分業者から自治体へ提出される行政報告に登載されている情報を用いて、各排出事業場から発生した産業廃棄物の中間処理、最終処分または再利用先までの物流を紐付けしたフローデータの整備を行ってきた。今回は、ある自治体で整備したデータベースに処理料金データを付加し、産業廃棄物の物流すなわち地理的な物質フローを描き出し、物流が生ずる要因について分析した結果について報告する。

  • 稲葉 陸太
    セッションID: A4-5-O
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
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    本研究では、産業廃棄物系の廃プラスチック(産廃プラ)の都道府県別の排出量について平成20年から平成30年までの平均値を求めた結果、愛知県が最大であった。時系列でみると、全国的には平成24年度頃に減少し、その後増加していた。つぎに、排出量が最大で時系列の変動が大きかった愛知県に注目し、産廃プラ以外の産業廃棄物の排出量と比較検討した。排出割合(平成20年度から平成30年度までの平均)でみると、汚泥(48%)が最大で、次いでがれき類、動物のふん尿、ばいじん、鉱さい、金属くずとなり、プラスチック類は7番目の大きさ(2%)であった。時系列でみると、産業廃棄物全体としてはわずかに減少傾向、汚泥とばいじんは横ばい傾向、がれき類と動物のふん尿は減少傾向、および金属くずは平成27年度や平成29年度に大きく増加した。プラスチック類は減少傾向だが平成27年度や平成29年度に大きく増加する挙動を示した。

A5 住民意識・環境教育
  • 沼田 大輔
    セッションID: A5-1-O
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
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    自治体から住民へのごみに関する情報の広報がどれほどの住民にどのように受けとめられているかについて、自治体の広報誌におけるごみに関する記事と、ごみに関する小学校での授業に着目し、福島県会津美里町を例に、住民へのモニター調査と、小学生の保護者へのアンケート調査によって検討した。そして、1)ごみに関する広報誌の記事は、約4分の1の住民しか見ていない可能性があり、見たことがある人ほどごみに関する広報誌の記事に関心を示している、2)小学校のごみに関する授業を通じた住民への告知は、小学4年生と同居していない住民も含めて約4分の1の住民に届く可能性があり、小学生からごみに関する情報を聞いた人ほどごみに関する広報誌の記事を見たことがある、3)ごみに関する広報誌の記事を見たことがあるかどうか微妙・見たことはないが、小学4年生からごみに関する情報を聞いたことはあるという回答者が1割程度いるという示唆を得た。

  • 山川 肇, 黒川 昂規, 竹島 康人, 藤原 秀樹, 土井 寛, 小泉 春洋, 齋藤 友宣, 岡山 朋子, 渡辺 浩平
    セッションID: A5-2-O
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
    会議録・要旨集 フリー

    本研究では、京都府精華町と共同で、「傷みやすい食品を優先的に使う」「すぐ使う食品は、冷蔵庫の目線の位置に」「買い物前に、冷蔵庫の確認を」の3つの行動をターゲット行動として「冷蔵庫整理で食品ロス削減キャンペーン」を実施した。全町においてパンフレットの全戸配布を含む媒体広報を行うとともに、モデル地区で全戸訪問調査を行い、その際にキャンペーンを説明するとともにターゲット行動を促すプロンプトツールとしてマグネット付きクリップを配布した。キャンペーン前後のモデル地区のごみ収集量とごみ組成から、モデル地区では3割程度の食品ロス削減があったと推定された。しかしそれ以外の地域では明確な食品ロス削減効果は見られなかった。より精度の高い削減効果の推定方法の確立・実施、モデル地区における削減効果の持続性の検証、モデル地区の成果を拡大する施策の検討が今後の課題である。

  • 鈴木 榮一, 浅利 美鈴
    セッションID: A5-3-O
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
    会議録・要旨集 フリー

    発表者はこれまで、ごみ処理施設の環境学習施設・設備(以下施設という) に対する社会的位置付けや制度の基礎調査、そして計画段階における課題を指摘して施設・設備の可能性へ向けた考察を行った。

     本研究では②(設置者視点)と対極のステークホルダー(利害関係者視点)との関係性に注目して、 施設業務の改善について考察する。研究方法としては、ステークホルダーの把握、時系列で関係性モデル整理、施設業務の要素分析による可視化、そして解決策の検討を行い、業務改善へ向けた考察を導き出す。

     今後、業務改善の検証として実態調査アンケート(9〜11月予定)を実施し、改善検証として新たな運営評価方法の開発をめざすが、本考察において、④における設問資料も得られることになる。

  • 藤本 延啓
    セッションID: A5-4-O
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
    会議録・要旨集 フリー

    熊本県水俣市では、2008年1月に「ゼロ・ウェイスト」をテーマとする「円卓会議」が設置された。その後、この「円卓会議」は、「協働参画の場」としてテーマを拡大させながらその数を増やし、また一部が消滅しながら、12年にわたって活動を続けている。本報告では、水俣市における「ゼロ・ウェイスト円卓会議」の12年の歴史を概観することを通して、水俣市における「円卓会議」がどのように運営され、どのような活動を行ってきたのかについて、「協働」をキーワードとしながら整理・考察を行い、今後の調査・研究の基盤とすることを目的とする。

  • 周 可, 荒巻 俊也, 北脇 秀敏
    セッションID: A5-5-O
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
    会議録・要旨集 フリー

    本研究では、北京市市民を対象としてアンケート調査を通して、生活ごみの分別に対する意識とそれに影響を与えている要因を明らかにすることを試み、特に規範的意識が重要な因子となっていることが示唆された。ただし、調査方式に由来するサンプルの偏りが想定されるため、より幅広い属性に対する調査を実施していく必要があるものと思われる。

  • 吉田 綾
    セッションID: A5-6-O
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
    会議録・要旨集 フリー

    本研究は、片づけを仕事とする人々の「ライフストーリー」に着目し、幼児期の生活環境や家族経歴、幼児期以降の生活経験と、片づけを実行するにいたった経緯・動機との関連性について考察するとともに、片づけ後の生活習慣や消費行動にどのように影響を及ぼしたかを考察する。

  • 野々村 真希
    セッションID: A5-7-P
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
    会議録・要旨集 フリー

    本研究の課題は、食材の調理の際に除去される可食部「過剰除去」の発生状況や発生要因を明らかにすることである。家庭で調理を主に担う消費者に対して、日本で消費量の多い野菜10種の可食部17か所を示し、それぞれ除去するかどうか、どのような認識を持っているか等を尋ねるアンケート調査を実施した。その結果、①にんじん葉柄基部付近、にんじん表層、じゃがいも表層付近、キャベツ外葉、だいこん表層は過半数が除去していること、②除去する人においては、当該可食部に対し「不可食部を完全に除去するために取り除く」「除去すると料理しやすくなる」といった調理上の都合というべき認識を持つ人が、野菜の種類や部位に関わらず多いこと、③「おいしくない」「汚れている」「農薬が気になる」等、部位そのものに対するネガティブな認識を持つ人もいるが、そのような認識の在り方は野菜の種類や部位によって違いが大きいことが明らかになった。

  • 高橋 史武
    セッションID: A5-8-W
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
    会議録・要旨集 フリー

    水銀に関する水俣条約の発効に伴い、使用後に回収された余剰水銀を環境安全に埋立処分する必要性がある。水銀の安定化処理施設や長期保管施設などは住民合意を得ることに大きな困難性が予想され、水銀への嫌悪感がそれに寄与する可能性がある。そこで、水銀に対してどのくらい強い嫌悪感を人々が有しているか、一対比較法での異なる二つの方法(Thurstoneの方法およびScheffeの方法)を用いて定量的に評価し、比較検討した。両手法ともに水銀は放射性廃棄物の次に嫌悪感が大きいことを示した。また、両手法で定量化された嫌悪感を比較したところ良い一致を示し、定量化した嫌悪感が一定の信頼性を有することが示された。

  • 沼田 大輔, 篠原 由梨香, 鈴木 早苗
    セッションID: A5-9-W
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
    会議録・要旨集 フリー

    本報告では、小学校におけるごみに関する授業が保護者のごみ捨て時の行動にどのような影響を与えているか、小学生は小学校のごみに関する授業で学んだことのうち何を保護者に伝えているかについて、福島県会津美里町を例に、ごみに関する授業を受けた小学生とその保護者へのアンケート調査によって検討したものである。その結果、ごみに関する授業が小学校で行われている8-9月に、ごみの出し方や分別について子供と話し合いをした保護者は67%であった。そして、ごみに関する授業と同時期にごみの出し方や分別について小学生と保護者で話すことは、約半分の保護者のごみ捨て時の行動を変化させうることが伺われた。また、アンケートにおける自由記述のテキストマイニングから、ごみに関する授業によって、町が抱えるごみに関する問題について小学生は分かったとしているが、そのことは保護者には共有されていないことも伺われた。

  • 西田 達, 森田 浩司, 北岡 達也
    セッションID: A5-10-W
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
    会議録・要旨集 フリー

    三重県では、過去の大規模な不法投棄事案等の経験を踏まえ、警察や市町、事業者、地域活動団体等多様な主体と連携するとともに、本庁及び県内9か所の地域機関担当職員による継続的な立入検査を行う等、監視・指導体制を強化してきた。この度、監視・指導体制強化の一環として、平成20年から使用している「産業廃棄物監視・指導支援システム」の改修等を行った。

     同システムの改修等による効果は、今後運用していく中で定量的な検証が必要であるものの、一定の業務効率化が図られるとともに、公平で公正な監視指導に資することができた。今後は、同システムと連携させた通報システムを実用化することによって、より迅速な初動対応が実施できる体制を確立する等により、三重県の産業廃棄物の適正処理の確保を進めていく。

  • 小泉 裕靖
    セッションID: A5-11-W
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
    会議録・要旨集 フリー

    事業系食品ロスは、多種多様な事業形態が存在し、商習慣など複雑な社会システムに起因していることから、その発生メカニズムの解明が難しい。そこで本調査では、食のサプライチェーンを構成する食品製造業、卸売業、小売業、外食産業などの事業者に対し、食品ロス発生の背景や要因について聞き取り調査を行った。その結果、事業者は、消費者が常に新鮮で、品揃えが豊富で、破損がなく、常に新規性のある商品を求めていると考えており、これに対する忖度意識が食品ロスの原因となっていることが分かった。特に小売業や外食業のように、直接、消費者と接する業種では、これらの意識は、販売機会の喪失を回避するための「欠品は絶対に許されない」という強固な共通認識となっていることが示唆された。また、食品の再流通が進まない原因としては、輸送・運搬、需給のミスマッチ、食の安全の担保が問題となっていることが分かった。

B1 廃棄物管理・計画(1)
  • 吉田 充夫
    セッションID: B1-1-O
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
    会議録・要旨集 フリー

    アフリカ・サブサハラにおける都市廃棄物管理の対処能力強化の課題を、社会人口統計学的特性指数(Socio-demographic Index (SDI))と対比することによって考察した。その結果、社会人口統計学的特性指数(SDI, 2017)は、「一人当たり国民所得(GNI, 2018)」及び「人間開発指数(HDI, 2018)」と強い正の相関を示すほか、「収集サービス・カバー率(Collection rate)」及び「廃棄物管理データの入手可能性(Data availability)」と正の相関関係を示すことが明らかになった。

  • 小島 道一
    セッションID: B1-2-O
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
    会議録・要旨集 フリー

    これまでの廃棄物分野の国際協力は、衛生対策の必要性から、都市部での廃棄物収集や適正処分が重視されてきた。例えば、吉田(2020)は、JICAが実施してきた87件の廃棄物資源循環分野の事業のうち「都市の廃棄物管理による環境管理」に関する案件が71件(82%)にのぼっていることを明らかにしている。一方、近年、急速に注目されるようになった海洋プラスチック問題は、発展途上国に対する廃棄物資源循環分野の国際協力の内容を、都市の廃棄物管理以外の領域でも拡充していく必要性を示しており、本稿では、海洋プラスチック問題への対応として、発展途上国における廃棄物対策が重視されるようになった経緯を示すとともに、日本の経験を踏まえ、農村での廃棄物収集サービスの拡大、プラスチックのリサイクル推進など廃棄物分野の発展途上国への協力で今後取り組んでいくべき内容について検討する。

  • 小川 領一, 留中 政文, 西川 順一, 佐藤 尚文
    セッションID: B1-3-O
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
    会議録・要旨集 フリー

    志布志市は焼却炉を導入せず、住民と行政が一体となった27分別によるごみの資源化を行っている。この志布志モデルは2000年に開始され、資源化量は急増し、最終処分量は急減した。このモデルの要、分別は至ってシンプルであるが、生活習慣と密接に関連しており、導入と定着には困難が伴う。本研究はこの導入と定着のプロセスに焦点を当てた。資料分析や聞き取り調査から、1990年代は地域で産廃が社会問題化し、住民のごみに対する意識が変化する中、広域処理計画がまとまらず、最終処分場の残余年数が数年先に迫り、19分別の導入を決意したこと、また、志布志モデル導入時には自家処理量が急増したり、不法投棄が問題となっていたことも判明した。そのような状況下、自治体職員の積極的な対応や衛生自治会の新たな設立・活動支援が一体となって機能し、分別が定着していった。この一連のプロセスは、途上国への支援の要素になり得ることを示した。

  • 土井 麻記子, 中石 一弘
    セッションID: B1-4-O
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
    会議録・要旨集 フリー

    低・脱炭素化と資源循環におけるSociety5.0実装に当たっては,当該分野におけるICT導入によるイノベーションを加速化し,労働生産性の向上に取り組むことが急務である。筆者らは,資源循環に関するプラットフォームの社会実装に向けた課題を整理した。はじめに,プラットフォームビジネスのポイントとして,プラットフォームの定義,プラットフォームの分野分類,生産性向上の具体方策と指標,ICT技術の導入先進事例としてのMaaSの動向,全国都市清掃会議発表会の動向を確認した。その上で,資源循環に関するプラットフォームの事例を収集・分類し,傾向把握を行った後,今後の課題について考察した。今後の課題として,プラットフォームを活用して廃棄物管理システムとしての全体最適に繋げること,そのためにも資源循環領域の付加価値向上を図ること,を挙げた。

  • 高橋 若菜, 沼田 大輔, 吉田 綾, 伊藤 俊介, 東條 なお子, 張 喬
    セッションID: B1-5-O
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
    会議録・要旨集 フリー

    本稿は、日中のRVMを用いたペットボトル等の店頭回収の事例を、歴史的制度論の視座から俯瞰し、その位置付けや今後を考察することを目的としている。政策的デポジット制度は、1970年代から今日に至るまで、欧米を中心に国もしくは州単位で導入が徐々に広がってきている。環境益の表出が強い欧州委員会や欧州議会、制度的に組み込まれたNGOが影響力を行使していること、北欧諸国等の経験への社会的学習も進んでいることが背景にある。日本でも90年代に議論があったが中央集権が強く生産者も強い中で、制度導入は退けられた。その後も制度導入の政治プロセスはほぼない。そうした中、近年、日中両国でRVMによる店頭回収が始まった。日本では小売店への高負担や行政回収との共存の検討、中国ではRVMメーカーへの高負担や補助金依存、スカベンジャーとの競合が課題である。

  • 鈴木 薫, 多島 良, 田崎 智宏
    セッションID: B1-6-O
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
    会議録・要旨集 フリー

    高齢化により、ごみ出しが困難な住民が増えたりごみ集積所の維持管理の担い手が不足したりする課題が生じている。これらの課題への対応策として、(1)全世帯を対象に戸別収集を行う、(2)課題が生じた一部地域のみ戸別収集を行う、(3)従来のステーション収集のままごみ集積所管理の支援を行う、の3種類が想定される。そこで、本調査ではごみ収集における高齢社会への対応策の現状と今後の課題を把握することを目的とし、全国の市区町村を対象としたアンケート調査を行った。その結果、人口規模が大きい自治体では、ごみ集積所の管理を行政が補完する形の取組が多く行われていた。一方、人口規模の小さい自治体では、全域での戸別収集や、高齢者ごみ出し支援のための一部戸別収集の導入率が人口規模の大きい自治体と比較して低く、自治会を中心としたごみ集積所の管理を前提とし、管理の支援も自治会のみを対象としているところが多かった。

  • 陳 宇馳
    セッションID: B1-7-P
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
    会議録・要旨集 フリー

    本稿は,中国杭州市のごみ分別に関する現状を把握することを目的に杭州市政府が行ったごみ分別検査について分析を行った。杭州市政府は杭州市の各区を対象に、住民のごみ分別に関する「杭州市生活ごみ分別作業の状況に関する報告」を公布した。本稿ではこの報告書の2019年1月から10月までのデータを用いて、ごみ分別の正確率およびごみ分別検査の得点に関する分析を行った。その結果,以下のことが明らかになった。第1に、ごみ分別に関しては、中国は日本と同様に市町村各自で管理している。そのため、ごみ分別行動は各区の管理システムおよび管理能力に大きく影響される。第2に、中国の行政機関を見ると、市→区→街道→社区という順で管理を行っている。社区がもっとも小さい管理機関で、住民たちのごみ分別を管理している部門である。社区のある地域のほうが政府からの管理もしやすいため、ごみ分別の成績も高い。

  • 秦 三和子, 村上 友章, 吉川 克彦, 河井 紘輔, 大迫 政浩, 西村 富男
    セッションID: B1-8-W
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
    会議録・要旨集 フリー

    我が国では、多くの地域において自治体が清掃工場を設置し、一般廃棄物の処理を行っているが、人口減少・高齢化が進む自治体では財政逼迫により施設更新が困難になることが予想される。効率的で持続可能な事業運営手法として、官民連携による廃棄物処理・資源化システムの構築が挙げられる。本研究では、官民連携による最大限の効果を見出すとともに、その実現に向けた公共と民間との連携のあり方やその実現方策を検討するため、廃棄物処理に関連する官民連携の事例を調査した。具体的には、①従来の「公設」「自区内処理」を前提とした廃棄物処理事業の課題を官民連携により解決しているものと、②官民連携で廃棄物処理事業を構築しようとする際の課題と解決策の2段階に分類し、「施設設計」「合意形成」「事業収支」「安定稼働」の断面ごとに課題と解決策を整理した。

B2 廃棄物管理・計画(2)
  • 王 柯樺, 中久保 豊彦
    セッションID: B2-1-O
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
    会議録・要旨集 フリー

    第三次社会資本整備計画において下水汚泥エネルギー化率が定義され、大都市下水処理場における下水汚泥のリサイクル戦略は、エネルギー利用に焦点を当てた時代へと移行している。現状、脱水汚泥の処理は焼却(汚泥専焼、850℃での高温焼却)に依存しており、エネルギー回収ができていない焼却をエネルギー化技術へと転換していくことが求められる。そこで本研究では、下水汚泥エネルギー利活用システムの設計と評価を実施するための熱収支解析モデルを開発した。対象とした下水汚泥エネルギー化技術は、革新型焼却・廃熱発電システム(低圧蒸気・高温水からの発電方式、ならびに高圧蒸気からの発電方式)、乾燥機付き焼却・廃熱発電システム(低圧蒸気からの発電方式)、乾燥造粒、低温炭化である。システムの評価指標は、エネルギー収支と温室効果ガス排出量の2指標とした。

  • 中久保 豊彦, 盧 梓馨, 王 柯樺
    セッションID: B2-2-O
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
    会議録・要旨集 フリー

    汚泥処理系の再編に向けた2つの機能統合策である、汚泥処理機能統合(下水処理場による浄化槽汚泥の受入)、焼却機能統合(ごみ焼却施設による脱水汚泥の受入)を対象とした更新計画を設計し、中規模自治体を想定した解析を行った。特に本研究では焼却機能統合に焦点を当て、ごみ焼却施設で脱水汚泥を直接混焼(乾燥させずに混焼)する方式を対象とした熱収支解析モデルの開発に取り組んだ。地域環境施設全体でのエネルギー収支(GJ/年、収支=供給量−消費量)で評価した結果、消化なし/ありのそれぞれの条件下において、汚泥処理機能統合、焼却機能統合に伴うエネルギー収支の改善効果が示された。消化なしで二液調質脱水汚泥を直接混焼するCase B2 (nonDG) が92,243 GJと最も優れた結果となり、脱水汚泥の含水率の低下が促進されることにより、消化ガス発電よりごみ焼却施設側での電力回収の方が優位となる可能性が示された。

  • 中野 裕, 川本 直哉, 梅本 司, 桂木 格
    セッションID: B2-3-O
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
    会議録・要旨集 フリー

    我が国では少子高齢化や生産年齢人口の減少が進展する中、ロボット技術は、製造業の生産現場、医療・介護現場、農業・建設・インフラの作業現場などの幅広い分野で、人手不足の解消、過重な労働からの解放、生産性の向上などの社会課題を解決する可能性を有している。

     資源化施設における選別工程では、機械による選別に加えて、精度向上のため、人による手選別が広く採用されている。手選別作業はベルトコンベヤ上で行われることが多く、作業員はベルトコンベヤ上を流れる混合廃棄物の中から対象物または異物を見つけ、選別・除去を行っている。これらは繁忙な作業であることに加えて、選別対象物に重量物が含まれる場合もあり、作業員への負担は小さくない。当社は手選別作業に係る負荷軽減を目的として、人共存型ロボットによる支援システムの開発を行っており、本稿ではその取り組みについて紹介する。

  • 藤山 淳史, 有本 朝香, 松本 亨
    セッションID: B2-4-O
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
    会議録・要旨集 フリー

    多種多様な事業者が参画する産業廃棄物処理において、情報プラットフォーム(情報PF)を活用した情報連携のニーズと仕組みに関するアンケート調査を実施した。なお、本研究で想定する情報PFとは、産業廃棄物の排出・処理にかかわる排出事業者、収集運搬業者、処理業者それぞれが保持している情報をWEB上のシステムに登録し、そこで情報をリアルタイムに近い形で共有することで、収集運搬、処理の効率化を図る仕組みである。福岡県内の多量排出事業者と福岡県産業資源循環協会の会員企業を対象に実施したところ、全体の約1/4は興味があると回答しており、一定のニーズがあり、情報PFを利用することによって特に業務の効率化に繋がることが期待されていることがわかった。ただし、企業が参画しやすい利用料の設定を行うとともに、情報漏洩防止対策などの情報公開に留意した情報PFの仕組みを検討していく必要があることが明らかとなった。

  • 劉 暁玥, 劉 庭秀, 大窪 和明, 佐藤 正弘, 青木 俊明
    セッションID: B2-5-O
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
    会議録・要旨集 フリー

    家庭から排出される古紙の主なリサイクルルートとしては、自治体による分別収集と集団回収がある。しかし、廃棄物行政にとっては、リサイクルはコストの削減と再資源化効率の向上が大きな課題になっている。一方、廃棄物行政の回収ルート以外に、民間業者による資源物回収サービスが増え始めている。スーパーマーケット、ホームセンター等の店頭に資源回収ステーションを設置し、古紙、ペットボトル、小型家電等の資源物を回収しているが、比較的良質の資源物が回収できるという。本研究は宮城県内107ヶ所資源回収ステーションの回収実績に基づき、回収量の実態分析を行った。また、QGISを用いて、古紙の店頭回収効果と周辺住民属性との相関分析を目的としている。これらの分析結果は資源回収ステーションの出店効果が分析でき、廃棄物行政と民間回収ルートの役割分担、コスト削減、資源回収効率向上のための重要な示唆を与えると考える。

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