重曹は,ごみ焼却排ガス中の塩化水素および硫黄酸化物の乾式処理に用いられる代表的なアルカリ剤である。しかし,反応効率を上げる目的で行われている重曹の微粉化は,貯留槽内での架橋発生を抑制するための添加薬剤の使用等によるコスト増加の原因となり,重曹利用の妨げとなっている。本研究では,重曹を微粉化せず,真空加熱処理を行うことであらかじめ多孔質化したソーダ灰を製造し,酸性ガス処理に用いる方法を検討した。その結果,粗重曹を180℃,30 kPaで真空加熱すると,多孔質化が進み,粉砕重曹を180℃で加熱したものより高い比表面積と塩化水素除去性能を持つソーダ灰が得られることがわかった。なおかつ,薬剤の吹込みによるバグフィルタ差圧低減効果も期待される。今回の研究より,微粉化によって生じる問題点を解決しながら,重曹のメリットを活かせる新たな手法を提案することができた。