主催: 一般社団法人廃棄物資源循環学会
会議名: 第32回廃棄物資源循環学会研究発表会
回次: 32
開催地: 岡山コンベンションセンター
開催日: 2021/10/25 - 2021/10/27
これまでに我々は、卵殻などの炭酸カルシウム(CaCO3)系材料を油分含有排水中に添加し、その油分除去効果について報告してきた。さらに本研究では、卵殻を用いた油分含有排水中の油分除去において遊離脂肪酸が及ぼす影響について検討した。劣化処理した米油では、油脂の主成分であるトリグリセリドの加水分解が進行し、遊離脂肪酸が生成したと考えられ、これを用いた模擬排水(模擬劣化米油含有排水)では米油を用いた模擬排水と比較して、卵殻処理によるn-ヘキサン値の低下が顕著だった。これは模擬劣化米油含有排水では排水のpHが低いために、卵殻からカルシウムイオンが多く溶出したためと推測された。また、模擬劣化米油含有排水の卵殻処理で見られた白色析出物の赤外線スペクトルでは、脂肪酸のカルシウム塩由来と思われるピークが見られ、劣化米油に含まれる遊離脂肪酸はカルシウム石けんとしても除去されたことが示唆された。