政府は2019年に「プラスチック資源循環戦略」を策定し、排出抑制やリサイクルに関する複数のマイルストーンを設定した。目標を達成するために効果的な施策を今後設定していくには、その排出の実態を明らかにする必要があるが、これまで日本においてはプラスチック廃棄物全体の発生量に関する地域レベルの調査研究は十分に行われてこなかった。本研究では全国市町村・組合を対象に、焼却施設の組成調査結果等からプラスチックの潜在的な排出量を推計し、そのデータを用いて一人当たりの排出量に影響する地域的要因についての分析を行った。結果としては、一人当たりの加工食品(菓子類、調理食品、飲料)支出額と、宿泊・飲食業付加価値額の多い市町村・組合のグループほどプラスチック廃棄物発生量が多い傾向が明らかになったほか、全体の排出量がこれまでの推計よりも多い可能性が示唆された。