都市ごみ焼却飛灰は有害な重金属類を濃縮しやすく、焼却飛灰中の重金属は水に易溶な形態をとるため、水との接触により環境中に放出されることが懸念される。そのため、埋め立て処理前に安定化処理を行う必要がある。現行の安定化処理法であるセメント固化処理やキレート処理に代わる、安価で体積増加の少ない安定化処理法として、脂肪酸を撥水剤に用いる撥水処理がある。先行研究では撥水剤を焼却飛灰に含浸させる撥水処理を行ったが、撥水剤の添加量や被覆手法については報告例がない。本研究では、神奈川県で採取した都市ごみ焼却飛灰に対して、4 種の脂肪酸を混練する処理を施し溶出試験を行った。溶出試験の結果、混練による撥水処理は重金属依存性を有するものの、高い重金属溶出抑制効果が得られた。