有機フッ素化合物(PFAS)のうち,PFOAなどを含むペルフルオロアルキルカルボン酸(PFCAs),PFOSなどを含むペルフルオロアルキルスルホン酸(PFSAs)が廃棄物最終処分場の浸出水から検出されている。これらは焼却残渣に由来する可能性があるが,実際にどの程度含有されているかは明らかになっていない。そこで本研究では,先行研究で定めた含有量試験手順に基づき,熱回収残渣を含む多種類の焼却飛灰に対してPFCAs・PFSAsの含有量を調べた。含有量試験は,全15種類の灰に対して行った。得られた総含有量の範囲は,産業廃棄物焼却飛灰で0.01~1.21 ng/g,都市ごみ焼却飛灰で0.18~0.77 ng/gであったが,廃棄物種による傾向を論じるには,さらに検体数を増やして検討する必要があると思われた。また,都市ごみ中の炉形式や酸性排ガス処理方式,熱回収残渣の違いによる明確な差はみられなかった。