抄録
本稿では、日本の製造企業P社とフランスの流通企業F社が構築したデジタル・カメラのサプライ・チェーンの仕組みを、製品開発(Research and Development)、生産(Manufacturing)、マーケティング(Marketing)という 3つの活動からなる枠組みから捕らえ、それぞれの活動がどのように連結され、サプライ・チェーンはどのように構築されたのかという観点より分析した。こうした事例を分析することにより、市場投入の頻度が高く数量の多い製品では、生産とマーケティングの間の問題だけではなく、製品開発と生産、製品開発とマーケティングといったインタフェイスのマネジメントによる組織能力の向上がサプライ・チェーンの競争力に重要な影響を与えることを明らかにした。