抄録
市場志向研究においては、先行型市場志向の重要性が指摘されつつも、同時に反応型市場志向とのバランスの必要性が指摘されてきた。しかし、これまでの研究蓄積の多くは、市場志向に関わる諸変数の尺度開発と変数間の関係を問う定量研究であり、先行型と反応型の市場志向のバランス化がどのように可能なのか、その具体的な在り方やプロセスに関する定性的研究の蓄積は不十分であった。そこで本研究では、アパレル加工企業の事例に基づき、先行型と反応型の2つの市場志向が同時に追求される「連動型事業システム」の存在を示し、理論的考察を行った。