2012 年 14 巻 1 号 p. 35-51
コンシューマー・エスノセントリズムとマテリアリズムが、先進国(日本)製品と新興国(中国)製品に対する消費者(台湾)の判断と購買意向に与える影響を調べた。台湾は日本と中国を2大輸入相手国としており、経済水準も両国の中間的位置にあるため、調査対象地として適正と判断された。台北と台中で343のサンプルを集めて構造方程式モデリングで分析した結果、コンシューマー・エスノセントリズム(CET)とマテリアリズム(MAT)の影響は、次のように複合的な様相を呈した。 CETは製品の出自国に関係なく購買意向を低下させたが、製品判断への影響は日本製品でのみみられた。一方、 MATは、日本製品の場合、製品判断に正の影響を与えたものの、購買意向に有意な影響を及ぼさなかった。それに対して中国製品の場合は、製品判断を向上させたものの、購買意向は低下させる働きをした。これらの分析結果をうけて論文の後半では研究の意義と成果をディスカッションする。