2012 年 14 巻 2_3 号 p. 55-75
本稿の目的は、拙稿「マーケティング・チャネルにおける新規販路開拓と関係性の管理」 (2010)において残された問題、すなわち「成果と希求水準の乖離状況がチャネル行動に及ぼす直接効果」と「既存の研究アプローチから導かれる競合仮説」を考慮していないという限界を克服することにある。 学習理論、チャネル構造選択論、チャネル交渉論、そして取引費用モデルに依拠して仮説を導出し、製造業者の販路開拓度と販路同調水準を従属変数とする重回帰分析を行った結果、成果と希求水準の乖離状況はチャネル行動を直接規定する変数であること、またチャネル行動の説明に際して学習理論の援用が有効であることが明らかにされた。