2016 年 18 巻 2 号 p. 3-31
サービス品質やコスト・パフォーマンスの強化によって、顧客満足とロイヤルティを高め、競争優位を確立する顧客戦略は、満足.ロイヤルティ仮説を基盤としている。本研究では、この仮説に基づいた拡張型累積的顧客満足モデルを構築する。満足の源泉としての期待効果、品質効果。価値効果、そして、ロイヤルティ(再購買意図)の源泉としての満足効果、推奨効果、ロックイン効果が利用頻度と顧客シェアという顧客特性の違いによって、いかに異なるかを理論的・実証的に明らかにする。
実証研究では、エアラインとホテルを分析対象とした実証研究の結果、利用頻度と顧客シェアで分けた顧客セグメントの違いによって、満足やロイヤルティの源泉が異なること、業種による違いが見られることが明らかになった。満足やロイヤルティの形成パターンが異なる顧客セグメントの異質性を踏まえた中で、企業がどのような顧客戦略の指針を描くかという問題に対して、拡張型顧客満足モデルは、一つの理論的基盤を提供するものである。