2022 年 24 巻 2 号 p. 17-32
文脈効果は実験や調査の選択でしばしば確認されるが,最近の研究から実際の購買環境ではほぼ観測されない可能性がある。こうした状況下で,選択型コンジョイントなどのマーケティングリサーチを行う場合,その回答には文脈効果に起因するバイアスが生じることを意味する。本研究では,魅力効果,妥協効果,類似性効果を考慮した選択型コンジョイントの分析手法と既存手法を比較するが,3属性以上のコンジョイントデザインでの対処方法の提案,画像あり/なし条件による文脈効果の生起の変化と実購買予測への影響を議論する。結果から,画像あり/なし条件のいずれでも魅力効果が特に生じることを把握した。画像なし条件で,魅力効果がより強く生じること,文脈効果を考慮した手法を用いるほうが実購買の予測力が高いことを例証した。