2025 年 28 巻 1 号 p. 33-47
本研究の目的は,消費者による小売チャネル使い分けのパターンを明らかにすることである。小売企業は複数のチャネルを展開することで,シナジーで相乗効果につながることもあれば,カニバリゼーションで共食いを起こすこともある。一方,消費者は商品を購買する際に,複数の小売チャネルを使い分けている。本研究では,概念的フレームワークを提示し,消費者が複数チャネルをどの程度の頻度で選択しているかで,消費者を分類する。それにより,消費者のチャネル使い分けパターンを探り,属性からパターンごとの違いをみる。既存研究では主にオフラインとオンラインでチャネル選択を分析していたが,本研究ではそれぞれ詳細に区別することで,具体的なチャネル使い分けが確かめられた。分析の結果,消費者のチャネル使い分けには「均一型」「高頻度型」「標準型」「スーパー重視型」「コンビニ重視型」「低頻度型」の6パターンが存在することが示された。また,使い分けパターンごとで属性が違うことを確認し,シナジーとカニバリゼーションを用いて考察した。
This study aims to elucidate consumer patterns in retail channel choice. Retail firms may generate synergistic benefits or face cannibalization when adopting multi-channel strategies. Meanwhile, consumers increasingly engage in multi-channel purchasing behavior. This research proposes a conceptual framework and classifies consumers based on the frequency of each channel choice. This classification facilitates the identification of distinct patterns in channel choice and enables an examination of differences between patterns across various consumer attributes.
While previous studies have primarily compared offline and online channel choices, this study refines that distinction and identifies patterns of consumer behavior in greater detail. The analysis reveals six distinct channel choice patterns: consistent, high-frequency, standard, supermarket-oriented, convenience store-oriented, and low-frequency. The findings indicate that consumer characteristics vary across these patterns. The results are further interpreted through the theoretical lens of synergy and cannibalization.
消費者は商品の購買に際し,メーカーやブランド,数量などを決めるとともに,小売チャネルを選択し,サービスを享受する。例えば,安く入手することを重視してスーパーマーケット(以下,スーパー)やドラッグストア(以下,ドラッグ)を選択することもあれば,利便性を重視してコンビニエンス・ストア(以下,コンビニ)や電子商取引(electronic commerce:以下,EC)を選択することもある。すなわち,消費者は購買するものを決めると同時に,購買する場所も決定している。
主に国内でのチャネル選択や小売業態に関する既存研究においては,1つ1つのチャネルや業態に焦点が当てられており,選択する人の特徴や規定要因について知見が深められている(e.g.,寺本,2019)。ただ,実際の消費者行動では,多くの人が,1つの小売チャネルのみを選択するのではなく,複数のチャネルを使い分けるなかで選択を行っているという実態がある。
小売チャネル研究では,ECの台頭が,近年の大きな環境変化のひとつとして挙げられる。ECの出現により,主として海外での既存研究では,従来の実店舗と新規のECとを比べる研究,すなわちオフラインとオンラインの比較研究が多くなされている(e.g., Hult et al., 2019;Zhuang et al., 2018)。しかし,特に日本では,後述の通り,スーパーやコンビニ,ドラッグなど,複数の形態のオフライン・チャネルも成長し続けている。各社がマルチチャネルやオムニチャネルの展開をするなかで,それらの多様なチャネル展開が,シナジー効果を生んでいるのか,もしくはカニバリゼーションを起こしてしまっているのかを考える必要がある。
本研究の目的は,消費者による小売チャネル使い分けのパターンを明らかにすることである。まず,本研究ではチャネルごとでの分析でなく,複数のチャネルを同時に分析し,消費者がどう使い分けているか,に着目をする。さらに,オフラインとオンラインという分け方だけでなく,オフラインの各チャネルについても区別して扱うことで,消費者が複数の小売チャネルをそれぞれどの程度の頻度で使い分けているのかを把握することを試みる。また,消費者属性などの先行要因を,分析を調整する共変量として加えることで,チャネル使い分けのパターンごとでの属性の違いも同時に考察する。本稿の実証分析では,小売チャネルのなかでも,選択頻度が高く,最寄品を扱うと考えられる,以下【表1】の6つのチャネルについて分析を行う。
本稿での潜在クラス分析の結果,消費者の小売使い分けには,「均一型」「高頻度型」「標準型」「スーパー重視型」「コンビニ重視型」「低頻度型」の6パターンが存在することがわかった。また,共変量に関する推定結果については,「標準型」と比較することで,その他5つのクラスを考察した。加えて,オフラインとオンラインの2分法ではなく,それぞれでチャネルを詳細に区別して扱うことでも,シナジーとカニバリゼーションを考察した。
本研究の構成は,以下の通りである。まず,研究背景として,日本での各小売チャネルの実態に言及し,本研究の理論的背景を述べる。次に,チャネル選択や消費者分類に関する先行研究のレビューを行い,概念的フレームワークを提示する。そして,実証分析で用いるデータ・セットとモデルの説明,分析結果について述べ,考察する。最後に,結論として,本研究の意義を明確にし,今後の研究を展望する。
研究の背景として,主な国内小売チャネルの実態について簡単にみていく。日本における各チャネルの年間販売額の推移を【図1】に示す1)。これより,いずれのチャネルも観測以降,上昇傾向が続いているといえる。そのなかでも特に,EC2)に関しては,他と比べて急激に規模が拡大している3)。【図1】をみると,2020年には,コロナ禍の影響があったと考えられるが,本研究での分析に利用したデータの時点である2021年には,コロナ禍の影響が落ち着きつつあると考えられる。

注)本研究での分析に利用した,データの時点である2021年を点線でマークしている。
このような背景から,小売の展開や研究では,オフラインとオンライン,つまり実店舗とECとの競争や統合に主な焦点が当たっている。特に海外では,その対立軸で語られる傾向が強い。既存研究では,オンラインであるECのみに着目した研究(e.g., Li et al., 2020;Peng et al., 2020)や,実店舗とECとを比較した研究(e.g., Hult et al., 2019;Zhuang et al., 2018)が多く存在する。
2.2 理論的背景小売企業は近年,複数の販売チャネルを持ち,マルチチャネルやオムニチャネルに展開している。例えば,日本経済新聞(2024)における総合小売・食料品小売業界での売上高ランキングのトップである,株式会社セブン&アイ・ホールディングスを取り上げる。セブン&アイ・ホールディングスは,コンビニとして株式会社セブン-イレブン・ジャパンをメインに,スーパーとして株式会社イトーヨーカ堂や株式会社ヨークベニマル等を運営し,同一グループで複数の小売チャネル事業を持つ(株式会社セブン&アイ・ホールディングス,2024)。
企業としては,こういった複数のチャネル展開により,消費者との接点を増やすことができ,販売機会の増加が期待できる。これは,シナジー効果と呼ばれる現象である。いろいろなタイプのチャネルを持つことで,相乗効果を生み,全体としての売り上げを増やすことにつながる。消費者の観点から考えると,さまざまな状況下で使い分けることが,シナジーにつながるチャネル選択である。
一方で,チャネルを増やすことで,元のチャネルの売り上げを減らしてしまうという方向に進むこともある。これは,カニバリゼーションと呼ばれる現象である。他のチャネルが導入されたことによって,既存のチャネルの売り上げが部分的にまたは完全に減少し,共食いを起こしてしまう(Avery et al., 2012)。例えば,従来は主にスーパーに置かれていた生鮮などの食品を,最近ではドラッグでも取り扱うことが増えてきている。こういったチャネル間近接が顕著になった現在では,同一カテゴリーの売り上げを,いくつかのチャネルで奪い合うことも起こっているため,カニバリゼーションについても考察する必要がある。消費者の観点から考えると,ある状況で比較して使い分けることが,カニバリゼーションにつながってしまうチャネル選択である。
先述の通り,海外では,オンライン・チャネルの増加に伴って,オフラインとオンラインでのシナジー効果やカニバリゼーションに関する研究が多くなされている(e.g., Kollmann et al., 2012)。しかし,日本では,先の例のように,同一企業がオンラインだけでなく,オフラインのチャネルにおいても,複数タイプのチャネルを展開することも多く,オフライン・チャネル間という視点でも,シナジー効果やカニバリゼーションを考慮する必要がある。したがって,本研究では,オフラインとオンラインの軸だけでなく,オフライン・チャネルについても,総合スーパーと専門スーパー,コンビニ,ドラッグを区別して扱い,それらの使い分けに着目する。
最初に,本論で用いるチャネルの定義を明確にする。チャネルにはさまざまな定義があるが,本研究では,「顧客との接点,または企業と顧客が相互に作用する媒体」(Neslin et al., 2006)を用いる。その理由は,Neslin et al.(2006)でのチャネルの整理が,小売チャネルの実態でも示したように,我が国の小売の現状に適しているためである。Neslin et al.(2006)では,チャネルの違いを説明するために,4つのグループに分類している。その4つとは,オフライン・チャネル,オンライン・チャネル,モバイル・チャネル,その他のタッチ・ポイントである。その他のタッチ・ポイントには,ソーシャル・メディアやクチコミ,プロモーション等が含まれる。この4つの分類のうち,購買を伴うものは,オフライン・チャネル,オンライン・チャネル,モバイル・チャネルであり,これら3つが本稿で焦点を当てる小売チャネル,すなわち,消費者への販売を伴うチャネルである。オンライン・チャネルにおいては,利用端末まで考慮してモバイル・チャネルを区別する意義が示されている。
次に,チャネル選択4)の規定要因として考えられるものを挙げる。小売店舗を選択する際には,低価格(e.g., van Lin & Gijsbrechts, 2016;Vroegrijk et al., 2016)を求める消費者がいる一方で,品質サービス(e.g., Kollmann et al., 2012)として高品質や店員,利便性を求める消費者もいる。またその他,小売選択ではPBの利用(e.g.,清水,2002b)を重視するかどうかも考慮する必要がある。加えて,流行を追うこと(e.g.,寺本,2019)や,情報収集(e.g.,池尾,1993)のために小売店舗を使い,情報伝達(e.g.,寺本,2019)する消費者も存在する。イノベーター(e.g.,清水,2013)は,複数のチャネルを横断で探索する傾向にある(Konuş et al., 2008)ため,チャネルの使い分けを説明するのに必要な属性である。価格や品質以外の要素,社会的プレゼンス(Grewal et al., 2021)や顧客体験(Gauri et al., 2021)などは,ここで挙げた要因と密接に関わることが示唆される。
また,マルチチャネルについては,Liu et al.(2018)で示されるように,特に2006年以降,学術的な関心が高まっている。これらマルチチャネルに関する研究を大きく分けると,小売業者視点と消費者視点の2つが考えられる。本稿では,消費者による小売チャネルの使い分けに着目しているため,以下では消費者視点のマルチチャネルについて述べる。
マルチチャネルの買物行動を取る消費者は,一貫して特定のチャネルを好むということはなく,むしろその嗜好は時間や文脈によって変化している(Liu et al., 2018)。そのため,1つのチャネルのみを利用するときと比べ,その行動を捉えるのが難しい。また,小売企業が適切な顧客にリーチし,特定の顧客セグメントの特性やニーズを特定する必要があり,そのためにもマルチチャネルでの消費者セグメンテーションが重要である(e.g., Konuş et al., 2008;Neslin et al., 2006)。したがって,小売分野における消費者セグメンテーションの先行研究について,以下で整理する。
3.2 消費者セグメンテーション本研究の目的に即し,先述の通りマルチチャネル研究が盛んとなりつつあった2006年以降の,消費者セグメンテーションの先行研究における概要を,後述する本論文での分析を含めて,【表2】に整理した。
この【表2】から,既存研究における目的を大きく2点で捉えることができる。1点目は,オンラインでの消費者の買物行動を軸に分析している点である。すなわち,オンラインとオフラインや,インターネット・ユーザーに限定して,消費者を分類している(e.g., Ganesh et al., 2010)。これは先述の通り,ECの台頭により,特に海外ジャーナル掲載の研究では,発展するオンラインが重視される傾向にあるためである。オフライン・チャネルの中身として,スーパーやコンビニなどを区別して分析対象としている研究は,数少ないがいくつか存在する。例えば,清水(2004;2002a)では,スーパーとコンビニとドラッグの使い分けを区別してデモグラフィック要因で説明している。この研究では,各チャネルでの分析結果を比較するという方法が取られている。
2点目は利用する変数として,主にサイコグラフィック尺度を用いている点である。買物動機や購買目的など,アンケートを実施して得られた変数を利用し,消費者をクラスター分けしている(e.g., Barnes et al., 2007)。また,行動変数をもとに分類する研究もある。Konuş et al.(2008)では,各チャネルに対する態度として,各商品カテゴリーで検索や購買に各チャネルが適切かどうかについて,消費者に聴取した項目を変数とし,分類している。ただ,用いたチャネルは,実店舗か,インターネット,カタログ・ショッピングの3つであり,先に述べたように,オフライン・チャネルを区別していない。そのため,Konuş et al.(2008)の推定結果では,「マルチチャネル」と「実店舗重視」,「非関与」の3つのセグメントが得られたが,実際にどのチャネルをマルチチャネルに選択しているかや,どの実店舗を重視しているかについては,詳細な言及がない。Nakano and Kondo(2018)でも,国内消費者のデータから購買頻度の変数を用いているが,分析の際には,海外での潮流に則り,各チャネルでの購買を,実店舗かオンライン・ストアかの2つに区別するにとどめている。
消費者セグメンテーションの分析手法としては主に,クラスター分析,もしくは潜在クラス分析が用いられている。近年では,サイコグラフィック要因やデモグラフィック要因などの消費者属性を共変量に入れて分析をすることができることから,潜在クラス分析が用いられることが多い。
3.3 概念的フレームワークそこで,Konuş et al.(2008)を参考にして,先行研究を踏まえた,本研究での概念的フレームワークを【図2】に示す。先述の通り,小売チャネルを選択することは,消費者のデモグラフィック要因とサイコグラフィック要因に起因している。既存研究から,まず,マルチチャネルでの購買を考えるうえでは,先述の通り,顧客セグメントの特性やニーズを特定する必要がある。そのため,消費者の文脈効果などを考えれば,固定されたセグメントではなく,消費者の分類を確率的に捉えることが有効であることがわかる。したがって,先行要因である共変量にデモグラフィック属性とサイコグラフィック属性を用いて,チャネルの使い分けを確率的に説明する。

注)サイコグラフィック属性については,消費者が重視するものや,消費者にかかわる特徴を属性として挙げており,各項目の詳細は本文や【表A1】に示している。
次に,既存研究では,オフラインとオンラインという2分法でチャネルを捉える研究が多く存在する。しかし,日本のオフライン・チャネルの現状では,上に示した通り,スーパーとコンビニ,ドラッグが,それぞれ成長しており,チャネル使い分けを考えるうえで,オフライン・チャネルを分けて捉える研究を行うことには意義がある。また,Neslin et al.(2006)でのチャネル分類では,オンライン・チャネルでも,モバイル・チャネルが別個に考えられており,利用端末も区別する意義が示される。以上のことから,小売チャネルとしては,オフラインとオンラインという2分法でなく,【図2】にある通り,6チャネルで考える。特にECについては,選択時の利用端末の違いを考慮する。つまり,パーソナル・コンピューター(personal computer:PC)利用でのECと,スマートフォン(smartphone)利用でのECの2つを区別して,本稿ではそれぞれEC[PC],EC[スマホ]と呼ぶ。よって,【表1】での,オフラインの4つのチャネルと,オンラインの2つのチャネル,合計6つのチャネルを対象として,概念的フレームワークを構築した。この捉え方により,既存研究に基づく先行要因と多様なチャネル使い分けとの関係を示しているという点で,既存研究とのリサーチ・ギャップを埋めることができる。
このように,消費者を分類するにあたり,消費者の文脈依存のチャネル使い分け行動を考えて,確率的に捉えることと,日本のチャネルの実態を踏まえて,今までよりチャネルの種類を細分化することは,学術的含意を持つことがわかる。
今回用いたデータ・セットは,株式会社野村総合研究所提供の,インサイトシグナルデータ(以下,NRIデータ)である。調査対象者は関東1都6県の20~59歳,調査期間は2021年1月23日から2021年4月3日まで,サンプル・サイズは2500である。
消費者のデモグラフィック属性の変数としては,性別,年齢,世帯年収,一人暮らしを利用した。性別は女性を0,男性を1とした2値である。年齢は実数値,世帯年収は0(収入はない)-11(2000万円以上)の12段階を用いた。一人暮らしはそうである場合を1,それ以外を0のダミー変数として分析を行った。また,サイコグラフィック尺度は,小売チャネル選択にかかわる9項目を利用する。その9項目とは,付録の【表A1】に示す通り,低価格と高品質,店員,利便性,プライベート・ブランド(private brand:以下,PB)利用,流行,情報収集,情報伝達,イノベーターである。これらのサイコグラフィック尺度9項目は,3.1.節で挙げられた通り,小売店舗選択の際に重要とされる項目である5)。各項目について,0(あてはまらない)と1(あてはまる)の2値で,変数を設定している。
チャネル選択頻度の変数は,【図2】で示した6つのチャネルそれぞれの選択について,付録の【表A2】に示す通り,1(ほとんど利用していない)-7(ほとんど毎日)の7段階で,各消費者から聴取したものである。これら6つのチャネルは先述の通り,選択頻度が高く,最寄品を扱うと考えられる小売チャネルの選択を想定して,選定している6)。
実証分析では,全2500サンプルのうち,今回利用する変数の質問項目に答えていない回答者と,本稿の対象全チャネルを「未選択」と答えた回答者を除外した,2403サンプルを用いる。デモグラフィック属性の要約統計量を【表3】に示す。
【表4】に,対象各チャネルでの選択頻度の分布を示す。各チャネルで最も出現割合が高い頻度をみると,専門スーパーでは,週2–3回が約37.7%,週1回が約33.0%と続く。また,コンビニでは週に2–3回選択する消費者が約32.1%存在する。これら2つのチャネルで,選択頻度が高いことがわかる。その他,総合スーパーやドラッグ,EC[PC]やEC[スマホ]では月に1–2回選択する消費者が,それぞれ最も多い割合となった。特に,EC[PC]やEC[スマホ]では,月に1–2回選択する消費者と,ほとんど選択しない消費者とで,2極化していることがわかる。
4.2 モデルと分析方法本論では,消費者セグメンテーションを行うにあたり,共変量を伴う潜在クラス分析(Wedel & Kamakura, 2000)を用いる。ここで,潜在クラス分析は,多項データに潜在クラス・モデルを適用することで回答者のセグメンテーションを行う方法である(里村,2015)。消費者のセグメンテーションには,先行研究でもみられたクラスター分析も利用されるが,潜在クラス分析の場合は,顧客の状況を確率モデルとして表現する点でクラスター分析とは異なっており,分析対象の各クラスへの振り分けをクラスへの所属確率として把握できること(守口,2008)が特徴である。
加えて,クラスター分析では,あるメインの変数,本稿でいう各チャネル選択頻度の変数のみを用いて消費者をセグメンテーションしている。一方で,本研究で利用する,共変量を伴う潜在クラス分析は,メインの変数を用いて消費者をセグメンテーションするにあたり,共変量を加える。本稿では,上に示した消費者のデモグラフィック要因やサイコグラフィック要因を共変量として用いる。
同様の分析をクラスター分析で実施するには,メインの変数でセグメントを求めたのち,各セグメントの特徴を改めて,多項ロジット・モデルなどを用いて比較分析するという,2段階の作業が必要である。しかし,共変量を含んだ潜在クラス分析では,各クラス(言い換えると,セグメント)に被験者を分類する際に,すでに共変量を組み込んでいる。そのため,あるクラスを固定してそのクラスとの比較で,説明変数として共変量を用いて,各クラスの特徴を消費者要因で説明することが可能である。
先行研究のレビューでも挙げた通り,共変量を伴う潜在クラス分析は,セグメンテーションと共変数を捉える研究ではよく使われる手法である(e.g., Konuş et al., 2008;Nakano & Kondo, 2018)。上述の通り,この方法により,共変量の効果を潜在クラス・モデルの一部として同時に推定することができる。
そこで,まず,チャネル選択頻度の変数について定義する。個人i(=1, ..., N)がチャネルj(=1, ..., J)を頻度k(=1, ..., K)で選ぶ場合にはYijk = 1,それ以外の場合にはYijk = 0とする。ここで,S個の潜在クラスを考えるとき,潜在クラスs(=1, ..., S),チャネルjにおいて,そのチャネルを頻度kで選ぶ確率をpjksとすると,
と表現できる。
また,個人iの観測されたR個の変数からなる共変量ベクトルをXiとする。s番目の潜在クラスに対応する,R + 1の長さを持つ係数ベクトルをβsとする。個人iが潜在クラスsに所属する確率をπisとすると,そのクラス所属確率πisは
と表される。
本モデルの対数尤度関数は以下の通りである。
対数尤度最大化のため,EMアルゴリズム(Dempster et al., 1977)を用いる。この推定プロセスは,事後所属確率を計算するのに用いられる任意の初期値から始められ,更新される。これらのステップは,各反復で直前期の対数尤度を比較し,その差が十分に小さくなるまで繰り返され,収束に向かう。なお,本分析での推定には,統計ソフトRのpoLCAパッケージにある,poLCA関数(Linzer & Lewis, 2011)を用いた7)。
4.3 推定結果と考察 4.3.1 クラス数の決定潜在クラス分析では,まずモデルのクラス数決定が必要である。このモデルの対数尤度関数には局所解が存在するため,初期値を50回以上変えて推定した。モデル選択における適合度指標として,本稿では赤池情報量規準(Akaike’s information criterion:以下,AIC)を用いる。決定にあたり,実際にクラス数を変えて潜在クラス分析を実施し,各クラス数でのAICを比較した。その結果,今回は過半数でAICが最小となった,潜在クラス数6つを採用する。【表A3】は,本分析でのAICを含むモデル選択の統計量である。
4.3.2 クラス解釈【表5】では,共変量を伴う潜在クラスの推定結果のうち,各潜在クラス構成割合と条件付き応答確率を示す。ここで,条件付き応答確率とは,所与のクラスである顕在変数に対して特定の応答がなされる確率のことである(稲垣,2020)。すなわち,本稿での条件付き応答確率は,それぞれのクラスを構成するために用いた,チャネル選択頻度の変数での各頻度が,そのクラスに所属する人のなかでどの程度の割合をとるのか,を示す値である。その値が高ければ,そのクラスにはそのようなチャネル選択頻度の消費者が所属しやすい,ということを示す。ここでは,導出された6つの潜在クラスそれぞれに関して,これらの解釈を行う。
まず,クラス①の構成割合は約5.3%であった。全チャネルで月に1–2回以上の選択頻度を持つ人が多く所属する。具体的には,ECはPC利用やスマホ利用に関わらず月に1–2回選択であるが,Neslin(2022)でも根強く顧客を持つとされた実店舗は週に2–3回,特に総合スーパーとドラッグは平均より高頻度で選択されている。月1未満で選択するチャネルを持つ人がほとんどみられず,まんべんなくチャネルを選択しているという意味で,クラス①は「均一型」と名付けた。
次に,クラス②の構成割合は約16.7%であった。多くのチャネルで平均より高頻度で選択されている。コンビニについては,毎日選択する人も多く所属する。したがって,クラス②は「高頻度型」と名付けた。
また,クラス③の構成割合は約23.3%と,僅差ではあるが最も多い割合となった。さらに【表4】のサンプル全体での回答者分布とも近いことから,クラス③は「標準型」と名付けた。
クラス④とクラス⑤については併せてみていく。それぞれの構成割合は約22.2%,約21.6%と,近い割合になった。いずれも平均よりやや低い頻度での選択がみられるが,前者では専門スーパーを,後者ではコンビニをより重視して選択していることがわかる。そのことから,クラス④は「スーパー重視型」と,クラス⑤は「コンビニ重視型」と名付けた8)。
最後に,クラス⑥の構成割合は約11.0%であった。ほとんどチャネルを選択しない人が多く所属する。そのなかでも,EC[PC]やドラッグなどのチャネルを,低頻度ではあるが選択する層も存在する。そのため,クラス⑥は「低頻度型」と名付けた。このように,複数チャネルの選択頻度によって消費者を分類することで,チャネル使い分けパターンを把握することができた。
4.3.3 考察【表6】では,共変量を用いた潜在クラスの推定結果のうち,共変量に関する推定を示す。ここでは,導出された6つのうち,クラス③「標準型」を基準としてその他5つのクラスそれぞれに関して,その差を捉える。それにより,共変量をもとに,各クラスの特徴を説明することができる。考察には,「標準型」との差として,有意水準5%を満たす変数を用いる。また,【表5】と【表6】の結果を整理し,【図2】の概念的フレームワークに当てはめたものを,分析結果のまとめとして【図3】に示す。

以下では,チャネル選択頻度に加え,共変量に関する推定結果も含めて,クラス③「標準型」と比較することで,その他5つのクラスについて考察する。
まず,クラス①「均一型」は,クラス③と同様に専門スーパーやコンビニを週2–3回選択するだけでなく,総合スーパーとドラッグも週2–3回選択するなど,EC以外の実店舗チャネルで,より頻度が高い使い分けパターンである。また共変量の推定結果から,これら4チャネルを買い回るクラス①は,主に専門スーパーやコンビニを買い回るクラス③と比べ,情報伝達をする一方で,購買前の情報収集や低価格を重視せず,利便性性向も持たない。また属性では,女性かつ若年層で,一人暮らしもより多く属する。週2–3回に渡る4つの実店舗チャネルの買回行動は,低価格を求めたものでなく,むしろ自分で情報を集め,またその情報を伝達する,といった使い方である。そこに,主として専門スーパーやコンビニのみを週2–3回選択する「標準型」の使い分けパターンとの違いがみられる。
次に,クラス②「高頻度型」は,クラス③と同様に専門スーパーを週2–3回選択するうえ,コンビニを毎日選択する人も多く所属し,またその他のチャネルをクラス③より高頻度の週1で選択する。共変量の推定結果から,ECを含む対象全チャネルを週1以上で買い回るクラス②は,低価格を重視しない傾向がみられ,イノベーターで男性,若年層,さらに世帯年収が多い人が属する。週1以上での全チャネルの使い分けは,低価格を求めたものでないことがわかる。そこに,専門スーパー以外では「標準型」の使い分けパターンと比べて,より高頻度に選択するという特徴がみてとれる。
また,クラス④「スーパー重視型」では,コンビニに代表されるように,クラス③と比べて選択頻度が低いチャネルもみられるが,専門スーパーに関してはクラス③と同程度の週2–3回選択する。さらに,EC[PC]よりEC[スマホ]を多く選択している。共変量の推定結果から,専門スーパーを重視するクラス④は,イノベーターではないという傾向がみられ,女性や若年層であり,一人暮らしでない人が属する。クラス③「標準型」と比べると,イノベーターでない人がこのような買回行動を取ることがわかった。
一方,クラス⑤「コンビニ重視型」ではその逆で,専門スーパーのように,クラス③と比べて選択頻度が低いチャネルもみられるが,コンビニに関しては標準と同程度の週2–3回選択する人が多く所属する。また,クラス③やクラス④と違い,EC[PC]もEC[スマホ]も多く選択している。共変量の推定結果から,コンビニを重視するクラス⑤は,店員やPB利用,流行を重視しない傾向がみられ,男性,若年層,世帯年収が高く,また一人暮らしでない人が属する。しかし,クラス③「標準型」と比すると,PBの利用や流行を追ったものにはこだわらない。
最後に,クラス⑥「低頻度型」は,クラス③と比べると,オフラインとオンラインにかかわらず,ほとんど全チャネルを低頻度に選択する。共変量の推定結果から,PB利用や情報伝達を重視しない傾向がみられ,男性,若年層,また一人暮らしではない人が属する。標準と比べ,PBを重視せず,情報を他人に伝えることができないと解釈できる。このように,小売チャネルの使い分けごとに考察を行うことで,チャネル単体ではみることができなかった,他のチャネルまで考慮した使い方を明らかにすることができた。
ここからは,潜在クラス分析を用いて,確率的に各クラスに属する確率を求めていることと併せて,シナジーとカニバリゼーションを含めた考察を行う。まず,同じクラスに属する消費者の選択する小売業,特にチャネル間近接が起こっている近年での,同一カテゴリーの品揃えを持つチャネル同士では,カニバリゼーションを起こしていると考えられる。なぜなら,同じ属性の消費者が,同じチャネル選択頻度のパターンで選択するからである。これに対して,違うクラスに属する消費者の選択する小売業は,通常であれば別のクラスの人が使うので競合しない。
同じクラス内にいる消費者が選択するスーパーやコンビニは,同じ顧客を持つため競合になり,カニバリゼーションを起こすものとして解釈される。一方で,違うクラスに属する消費者が選択するスーパーやコンビニは,そのクラス内では競合するが,クラス間では競合しない。例えば,クラス①の消費者が選択するスーパーと,クラス②の消費者が選択するスーパーは異なるので,競合をしない。
潜在クラス分析を用いた利点は,各クラスに所属する確率を求めていることであり,その人が一意に所属するクラス内の小売チャネルをその頻度でしか使わない,というわけではないことである。1つのクラスだけでなく,確率モデルで複数のクラスへの所属が考えられる。本研究での分析から,各消費者の所属確率を集計したものを【表7】に示す9)。
この結果より,クラス③とクラス④や,クラス③とクラス⑤のパターンの組み合わせで,一人の消費者における所属確率が高くなっていた10)。例えば,ある消費者は,メインではクラス③のパターン,サブではクラス④のパターンでチャネルを選択している。このような消費者は,さまざまな状況下でチャネルを使い分けていることから,これらクラス間のチャネルでは,シナジー効果を持った展開が期待できると捉えることができる。共変量を伴う潜在クラス分析を実施したことで,同じ消費者がよく選択するチャネル間のカニバリゼーションを示すと同時に,分脈効果などで別のクラスの使い分け方をする際には,シナジーと捉える考え方ができる。
本稿では,消費者による小売チャネル使い分けのパターンを明らかにするため,共変量を伴う潜在クラス分析を行った。具体的には,複数のチャネルをどの程度の頻度で選択しているかという観点から,消費者を分類し,チャネル使い分けパターンを確かめた。本稿の実証分析では,選択頻度が高く,最寄品を扱うと考えられる,6つのチャネルについて分析を行うことで,6つの潜在クラス,すなわち6つのチャネル使い分けパターンを把握した。また,さらに共変量として消費者属性を含めて推定し,クラスごとの差異を捉えた。その結果,基準となるクラス「標準型」との相違を,その他5クラスに関して掴むことで,パターンごとの違いを考察した。
5.2 研究意義本研究の意義は,学術的貢献と実務的貢献に分けられる。まず,学術的貢献としては,主に,小売チャネルの使い分けに関して,オフライン・チャネルについて区別して扱い,それらの使い分けに着目した研究を行った点が挙げられる。先行研究に多い,オフラインとオンラインの比較だけでなく,オフライン・チャネルに関しては,総合スーパーと専門スーパー,コンビニ,ドラッグ,それぞれの選択頻度を別の変数として持たせた。また,オンライン・チャネルについては,利用端末の違いを考慮し,EC[PC]とEC[スマホ]を区別して分析を行った。先行研究では,Konuş et al.(2008)が消費者を3つのクラスに分類しており,そのうちの1つ,「マルチチャネル」のセグメントでは,複数のチャネルを使い分ける性質のある消費者が存在することは示されたが,実際にどのチャネルをマルチチャネルに選択しているのかについて,詳細にはわかっていなかった。しかし,本研究の分析では,6つのチャネルを区別し,それらの選択頻度を用いて,消費者を6つのクラスに分類することで,具体的なチャネルをもとにチャネルの使い分けを見つけることができた。その結果,一括りに「マルチチャネル」のセグメントにまとめられていた既存研究では明らかにされていなかった,使い分けパターン間での,選択頻度と属性の違いが明らかとなった。
加えて,オフライン・チャネル内の選択についても,小売業者におけるシナジー効果とカニバリゼーションという視点で考察したという点でも,理論的貢献がある。本論の推定結果からは,消費者の小売チャネル使い分けパターンによって,シナジーやカニバリゼーションを起こすチャネルが異なることを示した。また,共変量を用いた潜在クラス分析を応用したことで,同じ人がよく選択するチャネル間のカニバリゼーションを示すと同時に,分脈効果や時間制約等,消費者の状況や条件が変わり,別のパターンで選択する際は,チャネル間のシナジー効果と捉えることができた。
次に,実務的貢献を考える。まず,本研究の分析結果で得られた潜在クラスをみると,市場規模として割合が多いのは,クラス③「標準型(23.3%)」とクラス④「スーパー重視型(22.2%)」,クラス⑤「コンビニ重視型(21.6%)」である。これらの各使い分けパターンから考察し,専門スーパーとコンビニが小売のメイン・チャネルになっていると考えられる。【図A1】には,日本における各チャネルの店舗数の推移を示しており,スーパーとコンビニの店舗数が多いことが確かめられる。本研究では,消費者による小売チャネルの選択頻度を用いて分析をしている。店舗数の推移と分析の結果から,スーパーとコンビニの店舗数が多いことが,選択頻度を高めることと関連していることが示唆される。小売企業は,依然として,特にスーパーとコンビニの実店舗数を維持し,増やしていく意義があることを見出すことができる。
一方で,総合スーパーやドラッグは,スーパーやコンビニと比べると,いずれのパターンにおいても選択頻度が低く,また他のチャネルと比べてパターンごとでの差がみられなかった。先に例で挙げた,セブン&アイ・ホールディングスのイトーヨーカ堂は,近年多くの店舗で閉店を余儀なくされており,総合スーパーがこの先,メイン・チャネルになりづらいことを暗示している。一方で,ドラッグに関しては,総合スーパーに比して選択頻度が高く,【図1】と【図A1】でみた通り,売上高と店舗数がともに伸びていることから,今後,スーパーとコンビニの立ち位置に近づいていくことが予想される。ただ,チャネル近接のなかでも,総合スーパーがこれまでに果たしていた役割も担い,薬等の品揃えでの差別化を図ることが求められると考える。
ECに着目すると,【表4】でのサンプル全体では,EC[PC]とEC[スマホ]について,いずれも同程度の頻度であったが,使い分けパターンによっては,EC選択時の利用端末に違いがあることも明らかになった。具体的には,③「標準型」ではEC[PC]のみ,④「スーパー重視型」ではEC[スマホ]のみ,⑤「コンビニ重視型」ではEC[PC]とEC[スマホ]の両方がよく選択されている。スーパーやコンビニを持つ小売企業は,EC戦略として,単にサイトの展開や商品受渡場所の提供をするだけでなく,消費者の使い分けパターンで他チャネルの使い方を把握したうえで,利用端末も含めたチャネル間のシナジー効果を考えて,販路を増やす必要がある。
こういったように,本稿の結果を受け,従来の個々のチャネルでの理解に加え,他チャネルの使い分けまで考慮したうえで各チャネルでの戦略や訴求にあった消費者をより精緻に把捉することができるといった点で,本研究は実務的な含意がある。
5.3 今後の展望本稿の最後に,今後の展望として本研究でやり残した課題を2つ挙げる。第一に,シナジーとカニバリゼーションに関して,本研究ではオフラインとオンラインの各チャネルを細かく区別して分析した。先行研究では,オフラインとオンラインの2つに分けてチャネル選択を捉えていた。しかし,本論においては,オフラインでは総合スーパーと専門スーパー,コンビニ,ドラッグの4つに,オンラインではEC利用の端末がPCかスマホかで2つに,それぞれ詳細に分けて捉える工夫をした。さらに,それらの変数に潜在クラス分析を用いることで,所属確率という概念から,シナジーとカニバリゼーションについて考察することができた。特に本研究では,既存研究で主に取り上げられてきたカニバリゼーションだけではなく,新たな試みとして,同時にシナジーも捉えようとした。一方で,シナジーとカニバリゼーションを識別するための設問項目の追加や,状況ごとの実験は行っていない。シナジーとカニバリゼーションは,同一小売企業のチャネル展開を考えるうえで,売上の相乗効果や共食いを捉えるのに重要である。本稿では,各チャネルの選択頻度でしかシナジーとカニバリゼーションを考察していないが,今後の展開では,各チャネルでの購買金額にまで分析対象を広げ,かつ,商品の品揃えの違いを考慮したうえで分析する必要があると考える。
第二に,購買履歴データを用いた研究も不可欠である。本稿ではアンケート調査のデータを分析したが,4.1.節で触れた通り,チャネル選択頻度が人為的に定められた選択肢からなる変数であるという限界が存在する。この先,より信頼性を高めるには,購買履歴データ等を用いた,実際の訪問回数や頻度に基づくデータ収集と分析が望まれる。また,商品カテゴリーや店舗ごとに,実行動を把握することも,本研究を発展させるうえで,非常に重要である。実行動データの利用によって,チャネル・レベルの使い分けから,より具体的な店舗ブランド・レベルの使い分けにまで目を向けることができ,一層深い考察ができると考える。例えば,高級路線と一般路線でみられるような戦略の異なるスーパーや,コンビニ各社の競合について,さらなる深堀りが可能である。また併せて,チャネルや店舗の選択に特化した直接的な項目,立地や品揃え等を踏まえた研究も必要である。加えて近年では,Thaichon et al.(2022)やVerhoef et al.(2015)でみられるように,研究の潮流が,マルチチャネルからオムニチャネルへと向かっており,本研究での習慣的な選択だけでなく,消費者による1回ずつの購買を捉えることで,研究をその時流に乗せることができる。
本稿の執筆にあたり,本研究に対する貴重なご意見とご助言を賜りました,本誌のアリアエディター,匿名の2名の査読者,ならびに編集部の先生方に,心より感謝申し上げます。頂戴したコメントは,本論文の質を高めるとともに,今後の研究に活かすことができる学びとなりました。また,本論の研究過程では,清水聰先生(慶應義塾大学)から多くの重要なご指摘を賜りました。この場を借りて,深く御礼申し上げます。

注)本研究での分析に利用した,データの時点である2021年を点線でマークしている。
表A1. サイコグラフィック尺度(サンプル・サイズ:N = 2403)
NRIデータをもとに筆者作成
表A2. 「チャネル選択頻度」変数での選択肢
NRIデータをもとに筆者作成
表A3. モデル選択の統計量
NRIデータをもとに筆者作成