抄録
近年、消費者が最終的に購入する製品やサービスへの満足度は非常に高まっている。それに比べ、購入に至るまでのプロセスに対する満足度はそれほど高くない。本研究では、購買意思決定プロセスを「購買想起」「店頭以外での情報収集」「店頭での情報収集」「購入」という4つの段階に分け、購買プロセスの進行に伴う消費者行動の動態的変化を捉えようと試みた。その際、我々は消費者のスイートスポットという概念を導入して考察している。スイートスポットとは、消費者が好意的な反応を示す受容領域のことであり、ここではそれを「明確さ」と「広さ」の2次元で捉えた。分析の結果、スイートスポットや考慮集合サイズが動態的に変化していく様子だけでなく、スイートスポットが追加的情報探索量や購買プロセスに対する満足度へ及ぼす影響も明らかにされた。