抄録
もともと広告倫理はその広告の実施がなされた地域の文化や時代によってその判断基準が変化する。したがって、文化に密着し、様々な新たな実践がなされる分野で、理論的なアプローチだけではこの研究課題は解題しにくい、と考えられる。倫理の研究は、価値から離れた客観的実証的なアプローチには馴染まない規範的な面もある。しかしながら、この30年程の間にかつては倫理的に認識されなかった問題 (例えば、人権と差別の関係イシュー、など広告された商品・サービスの購入が前提となっていない倫理問題) が次々と立ち現れてきていることを、倫理課題の地平が拡大した、と認識し考察を深めることは可能である。具体的には、広告倫理性は広告物レベルで表現された内容の公正さ (虚偽、誤導など) に関する領域のこととして論じられることが多かったが、昨今の倫理の論点は、社会的ステレオタイプの助長等広告の社会的結果という社会レベル、領域に論点が広がる。