抄録
この論文では、日本的な取引様式として指摘されてきた長期的取引関係に注目しながら、そこで形成・蓄積される関係特定的資源が企業の行動を制約し、その資源展開を関連型多角化へと方向づける論理を資源ベースの視角から明らかにする。企業間の長期的取引関係を前提としたときに強調しなければならないのは、企業の多角化行動が自律的な資源展開によってのみ行われるのではなく、焦点企業を取り巻く取引構造と関係特定的資源の転用可能性によっても条件づけられるという点である。ここに日本型資源展開の特質を踏まえた多角化行動を議論する必要がある。