この論文の目的は、ニチイ (現マイカル) によるビブレの業態開発プロセスをケース・スタディの対象としながら、イノベーションと競争の視点から業態開発における研究モデルを探ることにある。このケース・スタディを通じて発見された事実は、次の2点である。第1に、新業態の開発は既存業態との異業態性を克服するなかで行われるものであり、そのプロセスにおいて商品調達、商品政策、および販売方法の3つの側面でイノベーションが引き起こされたこと、第2に、開発された新業態の競争優位は地域的可変性と時間的可変性から構成される業態可変性を基礎としていること、である。