抄録
本研究は、顧客志向と内部競争に焦点を当て、これまで曖昧にされてきた営業組織の革新性を解明することを目的としている。実証データを分析した結果、内部競争と顧客志向の連動が、営業部門の革新性を促進していることが明らかになった。すなわち、顧客が重視されている営業部門では、重視されていない部門に比べて、内部競争が協調志向や革新志向と強く関係していた。こうした結果は、顧客志向が内部競争と連動することで、非生産的な対人コンフリクトを抑制し、生産的なタスク・コンフリクトを促進しているためであると解釈された。