抄録
本研究では回転しているクランク軸/歯車列とエンジンブロックの連成振動応答並びに放射騒音予測法の精度向上のために,歯車噛合い部の衝突モデルの検討を行った.振り子を利用した弾性衝突振動装置を製作して衝突力波形を計測した結果,油膜がない弾性振動状態では衝突剛性評価にヘルツの接触理論が適用できることを確認した.また油膜を介した衝突試験では油膜がない場合に比べて衝突力が早く作用し始めるとともに衝突力のピークが減少することを明らかにした.油膜減衰と構造剛性の直列構造で衝突部をモデル化できることを計算で確認するとともに,エンジン振動応答の時刻歴計算を容易にするため,非線形の等価ばねと減衰の並列配置で油膜を介した衝突をモデル化することを提案し,実機計算に適用した.