機械學會誌
Online ISSN : 2433-1546
傳熱に關する新研究
宇平 光太郎
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1933 年 36 巻 191 号 p. 165-171

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抄録

著者は傳熱管の粗面が、傳熱作用に及ぼす影響を研究することによつて、遂に傳熱の機構に關し新機軸を見出すに至つた。性質の一定な流體と傳熱面との間に、主として對流及傳導のみによつて熱の移行が生ずる場合、傳熱作用を支配するものは傳熱面に附着する流體境界層であつて、この流體境界層は流體速度、傳熱管の直径並にその配列によつて支配されるとの解釋は従來行はれて居る。しかし以上の諸原因は流體境界層を比較的外部より破らんとする作用であるに對し、著者は更にもつと根本的にこの境界層を比較的内面より破壊すべき機構を發見した。傳熱面に極めて鋭利な突起を接着して粗面を形成させること之である。而してこの粗面が如何にして流體境界層を有力に破壊するや、或はその效果が傳熱作用の上に如何に顯著に現はれるや等の問題を實驗的に確めることが出來た。従つて上述の様式を一般の傳熱装置に應用する時は、従來の傳熱装置を改良或は新規考案すべき材料は極めて豐富に存在し、之等の總ては現代文化の上に將又産業上にも重大な意義を有するものと信ずる。

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© 1933 一般社団法人日本機械学会
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