抄録
無酸素銅に12パスのECAP加工を施した平滑材を用いて回転曲げ疲労試験を行い,微小表面き裂の伝ぱ挙動と表面疲労損傷の関係を検討し以下の結論を得た.繰返し初期に1次せん断帯が発生し,その後の繰返しにより,損傷域は徐々に拡大した.寿命後半では方向性の異なる2次せん断帯が発生し,損傷域は急速に拡大した.主き裂は1次せん断帯を起点に発生し,l=0.1mmに達するまでは1次せん断帯の方向に沿って進展した.その後,低応力では,2次せん断帯の発生に影響されl=0.1〜0.4mmの範囲でき裂進展の遅延が生じた.高応力域では,2次せん断帯の影響はほとんど認められず,かなりの寸法までき裂は1次せん断帯に沿って進展した.