抄録
今後の宇宙開発の拠点として月が注目を集めているが,月面開発を行う上で,現地の資源を利用するISRU(In-Situ Resource Utilization)が必要不可欠である.その資源の一つとして月面に大量に存在する砂,「月レゴリス」が注目を浴びている.これは月レゴリス中に水素や酸素を含有しているからである.しかし月レゴリスは粒径によって組成や化学成分が異なることが報告されているため,月レゴリスを粒径ごとに選別する分級という単位操作が必要となる.その中でも本研究では,粒径数μm以下の粒子中にプラチナやチタン等の希少金属が多く存在することに着目し,これらを効率よく回収する分級方法を提案する.月面環境でも利用可能な分級法として,静電力を用いた分級機構の開発を行った.本機構を用いることで粒子の運搬と分級を同時に行える.また本研究では個別要素法を応用した粒子挙動シミュレーションを行い,その有効性を示した.