抄録
手動車いす利用者の50%以上は上肢の過度使用による上肢損傷に悩まされているという現状がある.その中で車いす利用者は,車いす推進力生成に使われる筋肉,推進ストロークとして考えられる種類とそれぞれの違いを理解することが車いすを有効に使う上で大切であり,またこのことを明確にし利用者の意識を高めることが,上肢損傷者の増大を抑えることにつながるのではないかと考えられる.本研究は,手動車いす利用者の推進ストロークに着目し,主にみられる4パターンの推進ストロークにおいて,上肢筋活動状態及び駆動エネルギーがどのように違うかを比較し,駆動期と振り戻し期を合わせる一連の推進ストローク期間内で,これらの結果を考察し,少ない上肢負担での効率的な推進ストロークを検討する。その結果は,楕円を描くようにして推進ストロークを行うパターン(SC)に優位性が見られることを述べる.