抄録
Anopheles minimusは熱帯熱マラリアを媒介するアジアで重要な蚊であり、いくつかの同胞種が報告されている。最近、石垣島産の本種は新しい同胞種として報告されている。私は昨年の支部会で石垣島産の本種成虫翅の年間の季節変化について報告した。今回は石垣島とラオス産の標本を用いて形態学的な重要な特徴である翅などを比較した。またDNAを抽出し、5.8Sと28S二相補的な塩基配列を持つPrimerを用いてPCRを行い、精製後クローニングし、rDNA遺伝子のITS2の塩基配列を調べた。その結果、石垣産は翅の前縁脈上のHP、A脈先端のfringeはラオス産と異なり常に有する。後縁上の基部とA脈先端の間にあるfringeはラオス産は常に有すが、石垣産はしばしば欠いていた。石垣島産のITS2の塩基配列の一部がラオス産と異なっている事が明らかになった。