抄録
2000年12月のセアカゴケグモ駆除後、同月より2ヶ月おきに1年間、同一地点で個体群動態及び温度調査を行った。駆除2ヶ月後の2001年2月には既にセアカゴケグモが再侵入していた。その間の調査地点の温度分布は最高温度17.9℃、最低温度−0.2℃、平均6.4℃であった。侵入グモの令構成は206頭中雌成体1、初期幼体180、後期幼体25頭で卵嚢は1つも無く、少なくとも冬期のセアカゴケグモの分布拡大は幼体の分散によって行われることが示唆された。マダラヒメグモは2月、オオヒメグモは4月、又ユウレイグモも4月に既に産卵が確認されたが、セアカゴケグモは6月まで認めらなかった。その間の温度分布は2月∼4月間の平均温度12.1℃、4月∼6月間の平均温度20.8℃でセアカゴケグモの産卵はこれらのクモより遅く、高温度が必要と考えられた。